外注かんばん

大野勝久氏のJIT生産システムオペレーションズ・リサーチ――経営の科学 1998年5月号 所収)では、もうひとつ外注かんばんというのが登場します。

また引き取りかんばんは、前工程が外注工場の場合、特に外注かんばんと呼ばれている。外注かんばんの場合、引き取りに行くのではなく、外注工場が定められた納入間隔で納入し、同時に発注をうける方式を採用している。したがって、外注かんばんは、本質的に定期引き取り・発注方式であり、発注から納入までの納入リードタイムは、自社内に比べて相対的に長く、無視できないものになる。

ちょっとわかりづらいので整理します。まず、

  • 外注かんばんというのは引き取りかんばんの一種である。

ということです。
その次の

  • 「外注かんばんの場合、引き取りに行くのではなく、外注工場が定められた納入間隔で納入し、同時に発注をうける方式を採用している。したがって、外注かんばんは、本質的に定期引き取り・発注方式であり、」

というところは分かりにくいのですが、後のほうの記述を読むと明らかになってきます。
まず納入間隔というものと納入リードタイムという2つの概念を想定して下さい。納入リードタイムは、発注した部品が納入されるまでの時間です。そして納入リードタイムは納入間隔の数倍から十数倍になっていると想定して下さい。つまり、発注するのはある納入のタイミングでするのですが、その発注した部品はその次の納入タイミングでは工場に到着しません。到着するのは何回かのちの納入タイミングです。そして外注かんばんは、発注した対象の部品が納入されるまで「納入待ち」状態を表すポストに(おそらく)留めておかれるのです。それより前の納入タイミングに同じ種類の部品が納入されたとしても、それをかんばんに割当てて部品を次工程に持っていくことはしません。納入かんばんは自分が発注したその個別の部品がくるまで「納入待ち」状態です。


 このことは納入リードタイムの長い部品については外注かんばんの枚数が多くなることを意味しています。さらに、外注かんばんの枚数が多い、ということは、かんばんの利点である後工程引き取りのメリットがあまり発揮出来ないことを意味しています。試しにある時点で後工程からの引き取りをストップさせたとしましょう。その時点で「納入待ち」状態の外注かんばんが多数ありますので、今現在、外注先で製作中の部品は全て引き取られることになります。つまり、後工程がストップしたからといって外注先の部品の製作をすぐストップすることはないのです。この点は、外注工場との契約が発注と納入をインタフェースにしている限り、外注工場の内部まで干渉することが出来ないから、仕方がないわけなのでしょう。