証明:大枠

MitraとMitrani 1990年のかんばん方式に関する研究(2)」で保留にした証明をここで考えてみます。

  • D_n^0=0・・・・・(5)
  • A_n^j=\max\{D_n^{j-1},A_{n-C_j}^{j+1}\}・・・・・(6)
  • D_n^j=\max\{D_{n-1}^j,A_n^j\}+S_n^j・・・・・(7)
  • \tilde{D}_n^0=0・・・・・(5')
  • \tilde{A}_n^j=\max\{\tilde{D}_n^{j-1},\tilde{A}_{n-C_j}^{j+1}\}・・・・・(6')
  • \tilde{D}_n^j=\max\{\tilde{A}_{n-1}^{j+1},\tilde{A}_n^j\}+S_n^j・・・・・(9)


証明したいのは、
(定理1)

  • (5)(6)(7)(5')(6')(9)が成り立てば、任意の自然数n1{\le}j{\le}Nについて
    • A_n^j{\le}\tilde{A}_n^jD_n^j{\le}\tilde{D}_n^j・・・・・(10)
  • が成り立つ。

ということです。


(定理1)を証明するために、以下の補題1を考えます。

補題1)

  • (5)(6)(7)(5')(6')(9)が成り立てば、任意の自然数[tex:n
    • A_n^j{\le}\tilde{A}_n^jD_n^j{\le}\tilde{D}_n^j・・・・・(10)
  • が成り立つ。


そして
A)k=1の時に補題1が成り立つ。
B)k=mの時に補題1が成り立つと仮定するとk=m+1の時にも補題1が成り立つ。
このA)、B)を証明出来れば数学的帰納法により定理1が証明されます。


A)は
補題2)

  • (5)(6)(7)(5')(6')(9)が成り立てば、任意の自然数1{\le}j{\le}Nについて
    • A_1^j{\le}\tilde{A}_1^jD_1^j{\le}\tilde{D}_1^j・・・・・(a-1)
  • が成り立つ。

ことを証明することと同等です。そこで補題2を証明するために、以下の補題3を考えます。

補題3)

  • 1{\le}k{\le}Nであるようなkを定めた時、
  • 1{\le}j{\le}kである全てのjについて
    • A_1^j{\le}\tilde{A}_1^jD_1^j{\le}\tilde{D}_1^j
  • が成り立つ。


そして
C)k=1の時に補題3が成り立つ。
D)k=mの時に補題3が成り立つと仮定するとk=m+1の時にも補題3が成り立つ。
このC)、D)を証明出来れば数学的帰納法により補題2が証明され、その結果A)が証明されます。


B)を証明するために以下の補題を考えます。
補題4)

  • (5)(6)(7)(5')(6')(9)が成り立っているとする。さらに、k=mの時に補題1が成り立っているとする。さらに
  • 1{\le}p{\le}Nであるようなpを定めた時、
  • 1{\le}j{\le}pである全てのpについて
    • A_{m+1}^j{\le}\tilde{A}_{m+1}^jD_{m+1}^j{\le}\tilde{D}_{m+1}^j
  • が成り立つ。


そして
E)p=1の時に補題4が成り立つ。
F)p=qの時に補題4が成り立つと仮定するとp=q+1の時にも補題4が成り立つ。
このE)、F)を証明出来れば数学的帰納法によりB)が証明されます。