ビアズレーのイゾルデ

まだ小学生の頃、両親が買ってくれた全8巻の百科事典の中でこの絵を見て衝撃を受けた。

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今、その時の衝撃を言葉にするならば、女性の美とその中にある不吉なものを直感したということだろう。だからというわけではないが、子供の頃から女性に対する怖れがあった。
当時はむろんトリスタンとイゾルデの話を知っているわけではなかった。この絵にはビアズレーの他の絵にあるような毒々しさもなく、むしろ美しいのであるが、当時の私には妖しくも不吉な、あえて言えば邪悪なものを感じていた。だからといってそれを避けるのではなく、きっとボクはそれによって身を滅ぼされるのを望んでいるのだ、と感じていた。・・・・・献身というのか・・・・・・。
今思えば、とても不思議な話である。


後年、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」を知ってから、イゾルデに対するこんな偏見もなくなり、この絵のことも長年忘れてしまっていた。最近、ネットでこれを見つけて改めて何十年も前の当時の気持を思い出した。