BCMPネットワーク(2)

BCMPネットワーク(1)」の続きです。

 ノードiから出発する際、クラスrのジョブは確率r_{i,r;j,s}でノードjに進み、クラスsのジョブになる。この確率を調べることにより、いわゆるラウティング・チェーンが(ノード、クラス)の組を区切ることによって定義出来る。
 もちろん、オープンであるクラスについてシステム外部からの到着のみがある場合がある。この場合、許される2つの可能性がある。
 最初の可能性は率\lambda(k)の1つのポアソン過程が存在することである。ここでkはネットワーク内の総ジョブ数である。システムへの到着時、ジョブは確率r_{0;i,r}でノードiにクラスrのジョブとして向かう。
 二番目の可能性は個々のライティング・チェーンが自分の到着過程を持ち、その率はそのチェーンのジョブ数にのみ依存するというものである。これを\lambda_c(k_c)で与えよう。ここにc\in{C}で、Cはラウティング・チェーンの集合であり、k_cはラウティング・チェーンc内のジョブ数である。各々の過程について確率r_{0;i,c}でノードiに到着がある。
 各々のラウティング・チェーンcについて、我々はクラスrジョブのノードiへの正味到着に関する方程式を書きたい。これは以下のように書ける。

  • \lambda_{i,r}=\lambda_{i,r}^*+\Bigsum_{(j,s)}\lambda_{j,s}r_{j,s;i,r}

ここで、\lambda_{i,r}^*はシステム外部からのジョブの到着率である。クローズド・ネットワークに関してはこれはゼロである。一方、オープン・ネットワークについてはこれは{\lambda}r_{0;i,c}(1到着過程)または\lambda_rr_{0;i,r}(チェーン/クラス毎の到着)。この方程式は非常に単純で直感的な説明がある。左辺は(i,r)への到着率であり、右辺の最初の項は外部から(i,r)への到着率であり、最後の項はネットワーク内の他の全ての(ノード、クラス)組から(i,r)への到着率の合計である。この方程式を用いて、システムが定常的であると仮定すると、オープン・チェーンについてのスループット\lambda_{i,r}とクローズ・チェーンについての訪問率V_{i,r}を計算することが出来る。もちろんクローズド・システムについて、訪問率が直接与えられることも珍しくない(我々がクラスで行ったこととあなたが課題で行ったことを考えれば)。
 さて主要な結果を述べる(証明はまったくこのコースの範囲外であるが、特に難しいわけではない。・・・・もし興味があれば聞いて欲しい)。待ち行列ネットワークの状態とは何かを提議するために我々は2,3の定義が必要である。\bar{N}_iがノードiの状態を示すベクトル(N_{i,1},N_{i,2},...,N_{i,R})であるとしよう。ただしN_{i,r}はノードiでのクラスrジョブの数を示す。システムの状態はベクトル\bar{N}=(\bar{N}_1,\bar{N}_2,...,\bar{N}_M)でありシステム内のジョブの総数はKである。


BCMPネットワーク(3)」に続きます。