BCMPネットワーク(3)

BCMPネットワーク(2)」の続きです。

BCMP定理
BCMPネットワーク内の定常状態確率分布は以下の積形式を持つ。

  • P(\bar{N}=\bar{n})=\frac{1}{G}A(\bar{n})\prod_{i=1}^Mp_i(\bar{n}_i)

ただしGは正規化定数であり(それは確率の合計が1になることを保証する)、A(\bar{n})は外部到着過程のみの関数であり、関数p_i(\bar{n}_i)は「ノード毎の」定常状態分布である。
 この結果の重要点は、関数pの明示的な式が存在するということである。それらは以下の通りである(n_i

  • \Bigsum_{r=1}^Rn_{i,r}

であることに注意)。
 ノードiがタイプFCFSの場合、負荷独立の場合には

  • p_i(\bar{n}_i)=n_i!\left(\prod_{r=1}^R\frac{1}{n_{i,r}!}V_{i,r}^{n_{i,r}}\right)\left(\frac{1}{\mu}\right)^{n_i}

であり、負荷依存の場合は

  • p_i(\bar{n}_i)=n_i!\left(\prod_{r=1}^R\frac{1}{n_{i,r}!}V_{i,r}^{n_{i,r}}\right)\prod_{j=1}^{n_i}\frac{1}{\mu_i(j)}

である。


 ノードiがタイプPSまたはLCFS−PRの場合、負荷独立の場合には

  • p_i(\bar{n}_i)=n_i!\prod_{r=1}^R\frac{1}{n_{i,r}!}\left(\frac{V_{i,r}}{\mu_{i,r}}\right)^{n_{i,r}}

であり、負荷依存の場合は

  • p_i(\bar{n}_i)=n_i!\prod_{r=1}^R\frac{1}{n_{i,r}!}V_{i,r}^n_{i,r}\prod_{j=1}^{n_i}\frac{1}{\mu_{i,r}}(j)

である。


 ノードiがタイプISの場合、負荷独立の場合には

  • p_i(\bar{n}_i)=\prod_{r=1}^R\frac{1}{n_{i,r}!}\left(\frac{V_{i,r}}{\mu_{i,r}}\right)^{n_{i,r}}

であり、負荷依存の場合は

  • p_i(\bar{n}_i)=\prod_{r=1}^R\frac{1}{n_{i,r}!}V_{i,r}^{n_{i,r}}\prod\frac{1}{\mu_{i,r}}(j)

である。


 最後に、項A(\bar{n})は到着過程によって以下のように決定される。もし全てのチェーンがクローズならばA(\bar{n})=1である。もし到着がシステム総客数に依存するならば、それは

  • A(\bar{n})=\prod_{j=0}^{k-1}\lambda(j)

である。ただしkはネットワークの客数である。もし到着がチェーン毎であるならば

  • A(\bar{n})=\prod_{c=1}^{N_C}\prod_{j=0}^{k-1}\lambda_c(j)

である。ただしN_Cはラウティング・チェーンの数でありk_cはラウティング・チェーンc内の客数である。
 ここで、この記法の全てが多すぎるように見えるので、BCMP定理の特殊な場合であり、実用的な興味が大いになるような例を2つ与える。その後、我々がいつかそれに時間を費やすであろう1つの例が与えられる。


BCMPネットワーク(4)」に続きます。