10.8.まとめ:Quantitative System Performance

10.7.2.待ち行列ネットワーク・モデル化ソフトウェアへの組込み」の続きです。(目次はこちら

10.8. まとめ


 この章で我々は詳細さの程度を変えながら複雑な現代のI/Oサブシステムを表現するために用いることが出来る1つのモデル構造を提示してきた。このモデル構造では、I/Oサブシステムはさまざまなディスクに対応するサービス・センターによって表現され、それらは各々

  • V_k\left[seek_k+latency_k+transfer_k+contention_k\right]

に等しい実効サービス要求時間D_kを持っている。我々は実効サービス要求時間の競合要素を、I/Oサブシステムの構造に関する多くの異なる仮定と多くのモデルの詳細さの程度の元で見積もるためのアルゴリズムを開発してきた。我々は、これらのアルゴリズムに必要な諸パラメータを通常の測定データから得ることや、これらのアルゴリズム待ち行列ネットワーク・モデル化ソフトウェアに組み込むことのようなさまざまな実施上の留意点について議論してきた。
 さまざまな理由からこの章の資料は決定的と見なすべきではない。さまざまなベンダのI/Oサブシステム・アーキテクチャはその詳細においてかなり異なっており、これらのアーキテクチャは迅速に進化しつつあり、これらのアーキテクチャ待ち行列ネットワーク・モデル内に表現するための技法は現在の研究活動の分野である。我々のアルゴリズムは何をすることが出来るかについての紹介として、そして特定のシステムの要求に対して直接使用出来る、そしてまた必要に応じて変形出来る技法の集合として考えるべきである。
 この章を終えるにあたって、我々はその導入で行った重要な指摘を繰り返す。スタディ対象のコンピュータ・システムが複雑なI/Oサブシステムを持っているという事実は、洗練されたI/Oサブシステム・モデル化技法が必要である、ということを意味しない。もし想定される修正の主要考課がディスク・サービス要求時間の簡単な調整で表現出来るならば、洗練されたI/Oサブシステム・モデル化技法は要求されない。洗練を含めないことのメリットには、パラメータ値の決定がより単純になり、仮定がより少なくなることが含まれる。


10.9.参考文献」に続きます。