11.4.2.目標指向スケジューリング:Quantitative System Performance

11.4.1.バイアスのあるプロセッサ・シェアリング」の続きです。(目次はこちら

11.4.2.目標指向スケジューリング

 目標指向スケジューリングは、個々のクラスが指定された性能目標を達成するようにするために動的なスケジューリング優先度を用いる点でバイスのあるプロセッサ・シェアリングと異なる。例えば、バッチ・スループットがある最小値を持たなければならないという制約の下で、会話ユーザがバッチ作業負荷より高い一般的な優先度を与えられていることだろう。そのような動的優先度は一般にはモデル化が困難であるが、トランザクション・クラスを創造的に使用することは若干の場合に役立つ。例えば、上に述べたような場合、モデルは最初に会話クラスに優先度を与えることが出来るだろう。もし解が、バッチ・クラスがそのスループット目標を達成することを示すのであれば、モデルの変更の必要はない。しかし、もしバッチ・クラスがそのスループット目標を満たすことが出来なければ、目標指向スケジューラは会話ユーザに与えた優先度を、指定されたバッチ・スループットを保証するために充分なくらい下げることになるだろう。これは、バッチ作業負荷を、指定された最小スループットをその到着レートに設定したトランザクション作業負荷に変換することによってモデル内に反映させることが可能である。トランザクション・クラスについては、システムが飽和しない限り、スループットは到着レートに等しい。よって、バッチ・クラスは、それが目標指向スケジューラの下で達成しているであろう性能を保証され、その結果の、会話クラスへのサービスの悪化が表現される。


11.5.クラス依存平均サービス時間を持つFCFSスケジューリング」に続きます。