11.5.クラス依存平均サービス時間を持つFCFSスケジューリング:Quantitative System Performance

11.4.2.目標指向スケジューリング」の続きです。(目次はこちら

11.5.クラス依存平均サービス時間を持つFCFSスケジューリング

 もしFCFSセンターにおいて異なるクラスがかなり異なる、1訪問あたりの平均サービス時間(S_{c,k})を持つのであれば、第7章からの我々の標準の評価技法は受入れ可能な精度を提供出来ないだろう。この状況はこれらの技法の滞在時間方程式のもうひとつの修正によって極めて容易に処理される。滞在時間方程式の元々の形は、

  • R_{c,k}(\vec{I})=D_{c,k}\left[1+Q_k(\vec{I-1_c})\right]=V_{c,k}\left[S_{c,k}+S_{c,k}Q_k(\vec{I-1_c})\right]

である。全てのクラスがFCFSセンターでの同じ1訪問あたりのサービス時間を(分離可能ネットワークでは)持たなければならないので、我々はこの方程式を以下の短縮形とみなすことが出来る。

  • R_{c,k}(\vec{I})=V_{c,k}\left[S_{c,k}+\Bigsum_{i=1}^CS_{i,k}Q_{i,k}(\vec{I-1_c})\right]


 互いに等しくないS_{i,k}を上の方程式に単純に代入すると、異なるクラスが異なる1訪問あたり平均サービス時間を持つFCFSセンターについての直感的に魅力的な方程式の技法が提供される。つまりある到着したクラス c客の前に見つかる個々のクラスi客はクラスiのサービス時間で掛け算される。標準MVAアルゴリズムの1つの方程式へのこの小さな変更を用いて、平均サービス時間がクラスによって異なるようなFCFSセンターを含むモデルについてのかなり精度の高い解が得られる。
 表11.2に一例を示す。我々は4台のディスクとFCFSでスケジュールされた1台のCPUを持つシステムを考察する。2つのクラスが存在する。クラスAは端末タイプであり、クラスBはバッチ・タイプである。表にはCPUでの1訪問あたりのクラスAサービス時間の5つの異なる値について、クラスAユーザが経験する応答時間を示している。3つの異なる仕方で我々は結果を得る。すなわち、クラス依存平均サービス時間を無視し、平均値解析を直接適用することによって(表内の「MVA」)、とこのセクションで提案したアルゴリズムを用いることによって(表内の「セクション11.5」)、とシステムをシミュレートすることによって(表内の「シミュレーション」)である。

  • モデル入力
    • N_A=10Z_A=10N_B=6Z_B=0
      • (時間の単位は全て秒)
  • クラスA応答時間
      • (時間の単位は全て秒)
  • 表11.2 クラス依存平均サービス時間を持つFCFS

 結果は、クラス依存平均サービス時間の効果は明白であり得ることと、ここで提案したアルゴリズムは考察した例についてよい結果をもたらすこと、を示している。


11.6.高変動のサービス時間を持つFCFSスケジューリング(1)」に続きます。