胡蝶

4月からひとり暮らしをしている私を心配して、老いた母が私を訪ねてきた。私の家の掃除をするのだというが、あまり出来ないうちに疲れが出て横になってしまった。(それに、それほど私の家がきたなくなっていたわけではない)
 母は、テレビで「伊勢神宮舞楽の披露がある」というのを聴いて、興味を持っている様子だった。私はネットで舞楽の始まる時刻を調べ、バスの時刻や所要時間を頭の中で計算し、舞楽の時間に間に合うように、母を促して出発した。朝方雨が降ったために残念ながら屋根の下での演舞となったが、何とか見ることが出来た。上を見ると空は青く、白い雲がゆっくり動くのを、雅楽の音(残念ながら私は楽器の名前が分からない)を聞きながら見ていると、不思議な気がした。

シンセサイザーで作ったような銀色の小さな泡が一面無数にはじけているような音だ。母も私もデジカメを持っていなかったので携帯での撮影になってしまい、うまく撮れなかった。母は舞楽胡蝶を見ることが出来て満足なようだった。私もよい時間を過ごすことが出来た。


 昼にはおかげ横丁の「すし久」で「てこね寿司」を食べ、3時少し前に母は電車で帰っていった。


母が帰ってから源氏物語の「胡蝶」をパラパラと読んでみたが、・・・・こちらは、感心する話ではない、と思った。