11.7.まとめ:Quantitative System Performance

11.6.高変動のサービス時間を持つFCFSスケジューリング(2)」の続きです。(目次はこちら

11.7. まとめ

 複数のプロセッサを含む、あるいはあるスケジュール規律を用いるシステム構成は充分な精度のモデルを得るために特別の技法を要求する。密結合マルチプロセッサは、現在CPUサービスを要求するジョブの数に依存する総レートでサービスを提供する。プロセッサの集合は、プロセッサ間の干渉を考慮するファクターを差し引いて、ビジーなプロセッサの数に比例するレートでサービスを提供する1個のフロー等価サービス・センターとして最もよく表現される。一方、疎結合マルチプロセッサは、個々のプロセッサが別々のジョブ・キューにサービスを提供するので、そのような特別な処理を要求しない。異なるプロセッサからのジョブが共用I/Oデバイスを用いる場合、それらを区別するために別々のジョブ・クラスを使用することが出来る。
 多くのオペレーティング・システムはジョブ・クラス優先度に基づいているが分離可能モデルと両立可能出ではないスケジューリング規律を用いている。その結果、有効性を確認出来るようなモデルを得るために、優先度スケジューリングをモデル化するための特別な技法を利用することが必要であるだろう。我々は優先度CPUをC個の「シャドウ」CPUに、その各々が1つのクラスにしか訪問されないもの、に置き換えることに基づいた技法を説明してきた。そのシャドウCPUでの個々のクラスのサービス要求時間はより優先度の高いクラスの影響を反映して水増しされる。若干の状況では別の技法、つまり、階層的分解とフロー等価サービス・センターと大域的バランスに基づいたもの、もまた適用可能である。これら両方の技法は、1つ、あるいは若干、あるいは全てのサービス・センターが優先度によってスケジュールされている状況に適用可能である。クラス間の優先度が絶対的でない場合、その方針をバイアスのあるプロセッサ・シェアリングと目標指向スケジューリングとしてモデル化することが適切であろう。これらの規律を扱うための技法はすでに提案された。
 最後に、FCFSスケジューリングもまた若干の条件下では特別な扱いを要求する。もしセンターへの1訪問あたりの平均サービス要求時間がクラス毎に異なるならば、モデルは分離可能ではない。ここでもやはり、MVAアルゴリズムの単純な修正がよいモデル解を生成する。同様に、センターへの個々の方法におけるサービス時間の長さが高い変動を持つならば、分離可能モデルではFCFSスケジューリングは正確には表現されない。高変動は、MVA解法を適用し、サービス中であるのを到着した客が見い出すジョブの残りサービス時間の見積もりを可能にする別の仮定を設定することによって、捉えることが出来る。
 この章で説明した技法は、それらを記述したような特殊の環境で役に立つ。しかし、それらを提示した同様に重要な理由は、それらが、非分離可能モデルを効率的にかつ正確に解くために創造的に適用しなければならない方法を示していることである。


11.8.参考文献」に続きます。