13.6.ケーススタディ:Quantitative System Performance

13.5.2.I/Oサービス時間の変更」の続きです。(目次はこちら

13.6. ケーススタディ


 このセクションではExec 8 OSを走らせている発展しつつあるUNIVAC 1100システムについて数年の期間に渡って行われた3つのケーススタディを記述する。最初にシステムは以下のI/Oサブシステム構造を持った1台の1100/41(ユニプロセッサ)として構成された。

  • チャネル0 1台のFH-1782ドラム
  • チャネル1 1台のFH-1782ドラム
  • チャネル2 4台のテープ・ドライブ
  • チャネル3 8台の8424ディスク・ドライブ
  • チャネル4 4台の8433ディスク・ドライブ

3つのケーススタディの各々において、実際の作業負荷を反映して設計された総合的ベンチマークが用いられ、同一の実験手順に従った。

  • ベンチマークは既存の構成の上で走らされ、測定はUNIVACのSIP(Software Instrumentation Package)によって行われた。
  • ベースライン待ち行列ネットワーク・モデルが開発され、正当性を確認された。
  • 目的とするシステムへの特定の変更の性能への影響を予測するためにそのモデルが修正された。
  • この変更が実装され、ベンチマークがもう一度行われた。
  • モデルが予測した性能が、修正されたシステム上で測定された性能と比較された。


この実験手順がセクション2.2で記述されたモデル化サイクルに密接に従っていることに注意しよう。これらの3つのケーススタディを本章の文脈において特に興味深いものにしているのはこの側面である。一方では、性能を予測するのに用いるパラメータ調整は若干単純化され、そこでは明らかな副次効果が無視された。他方では、予測と測定の間の不一致を特定の副次効果に帰着させる遡及的な試みがなされた。よって、ケーススタディの流れは、あるスタディで学んだ教訓が後続のスタディの精度を向上させるためにどのように用いることが出来るかを示すよい例である。性能予測ステップののちに決定がなされる生産環境では、上に概説した手続きの最後の2つのステップを忘れる傾向がある。しかし、これらのステップは重要である。