14.4.2.ADEPT(1):Quantitative System Performance

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14.4.2.ADEPT


 検討する2番目の技法はADEPT(A Design-based Evaluation and Prediction Technique 設計ベース評価予測テクニック)であり、1970年代終りに開発された。
 ADEPTを用いると、リソース要求量は平均値と最大値(上限)で指定される。プロジェクト設計は、性能仕様が上限を満たしているならば適している確率が高い。感度分析は、より正確なリソース要求量を指定しなければならないシステム要素を示すことが出来る。これらの要素は、早期のフィードバックを提供しより正確な予測を可能にするために、最初に実装されるべきである。
 提案するアプリケーションのソフトウェア構成は、性能ウォークスルーを通して決定され、ソフトウェア・コンポーネントをノードで表現し、これらのコンポーネント間の関係を円弧で表現したグラフ表現を用いて記述される。ソフトウェア設計は通常、トップダウンの連続する改良の過程の結果であるので、これらのグラフはツリー構造で、葉に向かって詳細さが増す。その例を図14.2に示す。ここでは3つの設計レベルが示されている。さらに分解されていない個々のコンポーネントはCPU時間見積りとそれに関連するI/Oアクセス回数を持っている。

  • 図14.2 実行グラフの例


 設計全体について経過時間とリソース要求を決定するためにボトムアップ手順によってグラフが解析される。葉ノードの時間とリソース要求は1レベル上のノードの要求を計算するために使用され、ルート・ノードまでそれが続く。モジュール間の干渉がないと仮定しての静的解析が実行されて、ベスト・ケース、平均ケース、ワースト・ケースの振る舞いが導出される。実行グラフのビジュアルな性質は、不変なコンポーネントをループの外に出すというような設計最適化を指摘するのを促進することが出来る。
 追加の技法が、設計が成熟するにつれて導入されるソフトウェアとハードウェアの他の特性を扱う。これらの特性はデータ依存性(そのためにカウンティング・パラメータが導入される)やリソースを巡る競合(そのために待ち行列ネットワーク解析ソフトウェアが使用される)や並行処理(そこではロッキングと同期化が重要である)を含んでいる。


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