「16.3.1.例題のシステムの記述」の続きです。(目次はこちら)
16.3.2.ベースライン・モデルの構築
我々のモデル化過程の最初のステップはバッチのスループットとTSOの応答時間についてよく妥当性を示すベースライン・モデルを構築することである。概念を明確に示すために、我々はセクション16.2.4に記述されたように、過程を部分的に自動化するために高級フロントエンドを用いる、ベースライン・モデルを構築する際に解析者がパッケージと直接どうやりとりをするかを示すつもりである。しかし実施上の考慮として、大きなモデルを構築する際、何らかのソフトウェアの補助が必要である。全ての必要なパラメータの値は第12章と第17章に提案した手続きに従って、測定データから得られているものと仮定する。
モデル構築に関する我々の検討は、クラスと、センターと、ドメインと、サービス要求時間を順番に扱う。
クラス
興味のある性能の質問のために、バッチとTSOの作業負荷要素は別々のクラスとして表現されなければならない。第7章のアルゴリズムと類似した複数クラスのアルゴリズムが、必要なクラス・ベースの性能尺度を提供する。実際のシステムでは、他の作業負荷要素はこれら2つの重要な要素と干渉する。この効果をモデルに含めなければならない。人工的な3番目の総体クラスを用いてこれを実現する。(これらの他の要素を無視することは興味のあるクラスについて楽観的な結果をもたらすことになる。)
クラスの定義は、その名前や、タイプ、負荷強度を含む。TSOは端末タイプのクラスであり、端末数と平均考慮時間を持っている。PRODUCTIONはバッチ・タイプのクラスであり、平均マルチプログラミング・レベルを持っている。人工的なクラスOTHERは、他の作業負荷要素のジョブが完了するレートに等しく設定された到着レートを持つトランザクション・タイプのクラスとして仕様を定められる。(この方法は、OTHERクラスのモデル化されたスループットが他の作業負荷要素の総体スループットと等しくなることを保証する。)
クラスを定義するMAPコマンドは
CLASS TSO (クラスTSOを作成)
TYPE TERMINAL (そのタイプを指定)
ONLINE_USERS 68 (アクティブ端末ユーザ数を指定)
THINK 12.53 (12.53秒の考慮時間)
CLASS PRODUCTION (クラスPRODUCTIONを作成)
TYPE BATCH (そのタイプを指定)
AVG_MPL 8 (その平均マルチプログラミング・レベルを設定)
CLASS OTHER (クラスOTHERを作成)
TYPE TRANSACTION (そのタイプを指定)
ARRIVAL_RATE .11 (到着レートは0.11ジョブ/秒)
さらにクラス属性を指定するコマンドがまもなく、モデルの他の必要な要素が定義された時に与えられるだろう。
センター
モデルはCPUを表すセンターと個々のディスク・ドライブを表すセンターを含む。センターの定義はその名前と、そのスケジューリング規律とそのメーカの型式番号のようなオプションの属性を含む。CPUとI/Oデバイスを定義するMAPコマンドは
CENTER CPU (CPUという名前のセンターを作成)
SCHEDULE PRIORITY (優先度スケジューリングを指定)
MODEL V/7 (それがAmdahl V/7 CPUであることをMAPに知らせる)
CENTER SYS001 (センターSYS001を作成)
MODEL 3350 (それがIBM 3350ディスクであることをMAPに知らせる)
CENTER PAG001 (センターPAG001を作成)
MODEL 3350 (それはIBM 3350である)
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もしスケジューリング規律が指定されないならば、CPUセンターではプロセッサ・シェアリングが仮定され、他のセンターではFCFSが仮定される。ここでは、CPUは優先度センターとして作成された。このセンターでのクラスの相対スケジューリング優先度は与えられなければならない。MAPでは、これはPLEVELコマンドを用いて実行する。CLASS TSO PLEVEL 3 (TSOは最高の優先度を持つ)
CLASS PRODUCTION PLEVEL 2 (PRODUCTIONは中間の優先度を持つ)
CLASS OTHER PLEVEL 1 (OTHERは最低の優先度を持つ)より高いPLEVELの値はより高いスケジューリング優先度を示している。優先度スケジューリングを取り込むことはMAPにセクション11.3で記述した技法と類似した技法を用いてモデルを評価させることになる。
「16.3.2.ベースライン・モデルの構築(2)」に続きます。