16.3.2.ベースライン・モデルの構築(2):Quantitative System Performance

16.3.2.ベースライン・モデルの構築(1)」の続きです。(目次はこちら

ドメイン
 実際のシステムでは、TSO作業負荷要素は9つの処理領域のメモリ制約を被る。ということは最大で9名のTSOユーザが同時にCPUとI/Oのサービスを巡って争うことが出来ることを意味している(他のユーザはメモリを待たなければならない)。MAPでは、これはDOMAIN機能によってモデル化される。ドメインの定義はその名前とキャパシティから成る。また、どのクラスが個々のドメインによって制約されるかを示すことが必要である。我々の例についてこれを行うMAPコマンドは


DOMAIN DOM_TSO CAPACITY 9 (ドメインDOM_TSOを作成。そのキャパシティを9ジョブに設定)
CLASS TSO INDOMAIN DOM_TSO (TSOをドメインDOM_TSOに関係付ける)


他のクラスはドメインに関係しない。DOMAIN機能の仕様はMAPにセクション9.3で記述した技法に類似した技法を用いてモデルを評価させることになる。
 最後のメモリ関連のコマンドはMEMORIZEであり、これはMAPにベース構成における主ストレージの量を知らせる。


MEMORIZE 16 (ベース・システムにおける16MBの主ストレージ)


この情報はMAPによって我々が見ることになるように、修正解析の間使用される。


サービス要求時間
 ベースライン・モデルで我々が定義する最後の要素は全てのクラスの全てのセンターでのサービス要求時間である。サービス要求時間の値を入力する便利な方法はそれらについて体系的な仕方でパッケージ・プロンプトを持つことである。MAPでは、これは「全て」のクラスとセンターの値を指定することによって達成される。次に、DEMANDコマンドの応答として、MAPはクラスとセンターの名前を印字し、以下のように対応するサービス要求時間を受け入れる。


CLASS ALL (ALLはMAPに全てのクラスの名前でプロンプトを出させることになる。)
CENTER ALL (ALLはMAPに全てのセンターの名前でプロンプトを出させることになる。)
DEMAND (MAPに我々がサービス要求時間を指定したいことを示す。)
TSO: (TSOについてのMAPのプロンプト。以下のプロンプトがそれに適用される。)
  CPU: (CPUサービス要求時間についてのMAPのプロンプト)
    .09 (ユーザが指定)
  SYS001: (SYS001サービス要求時間についてのMAPのプロンプト)
    .004 (ユーザが指定)



(MAPが印字したプロンプトはイタリックで示してある。)


性能レポート
 モデルが定義されたので、ベースライン・システムについて多くの性能レポートを得ることが出来る。表16.1に例を示す。

  • 表16.1 性能レポートの例

 モデルは、第2章第12章で記述したように、その計算された性能尺度をいくつかの測定期間からの性能尺度と突き合せることによって妥当性を確認することが出来る。これはしばしば、システムのよりよい理解が得られるにつれてモデルとそのパラメータが洗練されるような繰返しの過程になる。
 この時点で我々はモデルの妥当性確認に成功したと仮定する。一旦、これが達成されたならば、モデル定義は保存することが出来る。


SAVE BASELINE (モデル定義をパラメータ・ファイルにセーブする)


モデルは、その後
READ BASELINE (名前を指定したモデル定義ファイルを読む)
を用いて、このMAPセッションかあるいは他のセッションかのいずれかで検索されるであろう。


16.3.3.予想される変化の反映(1)」に続きます。