16.3.3.予想される変化の反映(1):Quantitative System Performance

16.3.2.ベースライン・モデルの構築(2)」の続きです。(目次はこちら

16.3.3.予想される変化の反映


 第13章で我々は発展するシステムのモデルのパラメータ値決定について検討した。多くのモデル修正が可能である。このサブセクションでは、ベースライン・モデルの作業負荷とハードウェアとソフトウェア・コンポーネントの修正について検討する。これを行う際、我々は現代の待ち行列ネットワーク・モデル化ソフトウェアの便利な機能の多くのを示すことにする。


作業負荷
 1つの標準的な作業負荷変化は負荷強度の増加である。PRODUCTIONマルチプログラミング・レベルの新しい値を指定するために、AVG_MPLコマンドが、そのオペランドとして新しい値を伴って発行される。


CLASS PRODUCTION AVG_MPL 12 (新しい値の設定)


より普通な仕様には相対的変化があり、例えばTSO負荷強度(端末数)の20%増加は


CLASS TSO ONLINE 1.2* (以前の値に1.2をかける)


となる。(任意のユニークな接頭辞はMAPにおいて受入れ可能な省略形である。ONLINEはONLINE_USERSの短縮形である。)
 他の作業負荷の変化にはサービス要求時間がある。新しいアプリケーション・ソフトウェアはTSOクラスについてCPUパス長を短縮するかもしれない。これは


CLASS TSO CENTER CPU DEMAND .90* (CPU要求時間は10%削減された)


によってモデルに反映される。ディスクでのサービス要求時間も同様に変化し得る。ファイルの新しいブロッキング戦略が1トランザクションあたりのI/O回数を削減し、シークとレイテンシーの総要求時間が短くなるために転送される1バイトあたりのアクセス時間が短くなるかもしれない。ディスク・サービス要求時間は上記と類似したやり方で修正することが出来る。
 適切にモデルの諸パラメータを修正したならば、提案するシステムの性能見積を、このスタディの妥当性確認フェーズで行ったように、PERFORMANCEコマンドを用いて得ることが出来る。

ハードウェア
 典型的なハードウェア変更はデバイスのよりパワフルなものへのアップグレードである。我々の例では、V/7 CPUは5860にアップグレードされるだろう。MODELはすでにCPUセンターについて指定されているので、新しいMODELを指定することはCPUでの全てのクラスのサービス要求時間が変化する影響がある。


CENTER CPU MODEL 5860 (Amdahl 5860へのアップグレードを表現する)


この変更は、パッケージ内部でこれら2つのCPUの相対スピードの組み込まれた知識に基づいて自動的に行われる。
 CPUがアップグレード出来るように、ディスクも同じように出来る。もし、3350ディスクのいくつかかあるいは全てが3380ディスクに変わるならば、アップグレードされるデバイスでの全てのクラスのサービス要求時間を変更するためにMODELコマンドは以下のように使用出来る。


CENTER SYS001 MODEL 3380 (IBM 3350からIBM 3380へのアップグレード)


 別の典型的なアップグレードにはメモリ拡張がある。16MBから24MBへの移行はユーザ作業負荷へのより多くのスペース割当てを可能にする。どのようにこのスペースが割当てられるかはOSのメモリ方針に依存する。MAPはメモリ拡張がさまざまなクラスにどのように影響を与えるかの組込み知識を用いる。コマンド


MEMSIZE 24 (主メモリのサイズを24MBに増加させる)

はMAPに、増加した主メモリの使用を反映するようにPRODUCTIONクラスの平均マルチプログラミング・レベルとTSOクラスのドメイン・キャパシティを自動的に変化させる。(MAPが計算した値は見積であり一次効果だけを考慮している。解析者はより詳細な知識に基づいてそれらを修正したいかもしれない。)
 最後のハードウェア変更として、パス競合を削減するためにI/Oサブシステムにコントローラを追加することを考察しよう。(ここで考慮するI/Oサブシステムのアーキテクチャのより完全な記述については第10章を参照。) 我々の基本モデルにはI/Oパスの明示的な表現はまったくない(I/Oパスを巡る競合の効果はディスク・サービス要求時間に反映され、それはパス競合要素を含んでいる)ので、この変更をモデル化するためにはI/Oサブシステムのより詳細な表現が要求される。この種の詳細なモデルを作成する過程を例を用いて示す。説明のために、我々は例を小さいままにしておく。


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