16.5.エピローグ:Quantitative System Performance

16.4.まとめ」の続きです。(目次はこちら

16.5.エピローグ


 この本で議論してきたことの多くが待ち行列ネットワーク・モデル化ソフトウェアにパッケージ化出来、実際にされてきたのであるならば、なぜあなたと我々は一緒にこの資料についてこれほど長く骨折ってきたのであろうか? その理由は単純である。そのようなソフトウェアに付加することの出来る効率は、それが基づいているところの原則と技法を理解することによって何倍にも増幅するからである。
手短に言えば

  • パートIの場合、あなたはリトルの法則とその親類を学んできた。それらは待ち行列ネットワーク・モデル化の技術的基盤を用意し、妥当であり、とても広い応用可能性がある。この知識は、待ち行列ネットワーク・モデルを用いた性能スタディの広範囲な成功についての認識と一緒に、方法への信頼を提供する。
  • パートIIの場合、あなたは分離可能待ち行列ネットワーク・モデルを評価するのに使われる技法と、これらの技法が寄って立つところの諸仮定を学んだ。これらの技法の諸仮定に関する頑強さが示された。この知識もまた方法への信頼を築き、より重要なことには、それは待ち行列ネットワーク・モデルの適用可能性の範囲を示し、特定のサブシステムの詳細なモデルが分離可能待ち行列ネットワーク・モデルを基礎として用いて構築出来るような方法への洞察を提供する。
  • パートIIIの場合、あなたは特定のサブシステムの詳細なモデルを評価するためにパートIIアルゴリズムを増強するための技法の集合を学んだ。そこではそれはしばしば、分離可能性の諸仮定に違反するようなシステムの特徴の効果を表現することが必要である。この知識はあなたが特定の場合に(例えば、マルチパス化I/Oサブシステムを表現する際に)待ち行列ネットワーク・モデル化パッケージによってなされた均一性の諸仮定を理解するのを促進し、よってあなたが特定の性能スタディにおいてこれらの諸仮定が心配の元であるかどうかを知ることになる。パートIIIで提示された技法もまた、ユニークなモデル化問題に直面した時にあなたが自分で工夫する類似の技法のためのモデルとして役立ち得る。
  • パートIVの場合、あなたは既存の、発展する、提案するシステムのスタディを実行するために待ち行列ネットワーク・モデルのパラメータ値を決める仕方を学んだ。しばしばデータ削減ツールが利用可能でなく、あなたは生の測定データから作業することを強いられるだろう。そのようなツールが利用可能である場合でさえ、しばしば、特定の実装の要求に合わせるためにそれを増強することが望ましいだろう。いまやあなたはそれを行うための知識を持っている。
  • パートVの場合、あなたは待ち行列ネットワーク・モデルが「非伝統的な」文脈でどのように適用可能であるか例を通して学んだ。コンピュータ・システムが発展し続けるにつれて、待ち行列ネットワーク技術と既存の待ち行列ネットワーク・モデル化ソフトウェアの適用可能性が単純な特性を持つ集中システムの境界を越えてよく拡がることを認識することは重要である。


前書きで述べた若干のコメントを繰り返すならば、待ち行列ネットワーク・モデルは万能薬ではないが、広くさまざまな応用において適切なツールである。待ち行列ネットワーク・モデルを用いるコンピュータ・システム解析は技能と科学のブレンドであり、教育と経験の両方を要求する。我々は、あなたがあなたの仕事の中で待ち行列ネットワーク・モデルを適用することに成功することに貢献してきたと希望するし、あなたが成功することを願っている。


16.6.参考文献」に続きます。