アーラン分布の再生性

ある分布の集合に属する2つの確率密度分布を持つ互いに独立な確率変数XYを考えた時に、確率変数Z=X+Yの確率密度分布が同じ分布に属する場合、その分布は再生性を持つ、と言います。
ここでは、同じ\lambdaを持つアーラン分布が再生性を持つことを示します。つまり、アーラン分布f(t;k_1,\lambda)を持つ確率変数X_1と、アーラン分布f(t;k_2,\lambda)を持つ確率変数X_2を考え、X_1X_2が互いに独立であるとすると、X_3=X_1+X_2で定義される確率変数もアーラン分布f(t;k_3,\lambda)の形の分布を持つ、ということを示します。


アーラン分布」で示したように、f(t;k_1,\lambda)は平均1/\lambdaの指数分布を持つ独立な確率変数X_ik_1個を足した確率変数

  • E_k_1=\Bigsum_{i=1}^{k_1}X_i

の持つ分布と考えることが出来ます。同様に、f(t;k_2,\lambda)は平均1/\lambdaの指数分布を持つ独立な確率変数Y_jk_2個を足した確率変数

  • E_k_2=\Bigsum_{j=1}^{k_2}Y_j

の持つ分布と考えることが出来ます。
E_k_1E_k_2が互いに独立であるとすると、任意の1{\le}i{\le}k_11{\le}j{\le}k_2についてX_iY_jが独立でなければなりません。
X_1E_k_1と考えることが出来、X_2E_k_2と考えることが出来るので、X_3=X_1+X_2E_k_1+E_k_2と考えることが出来ます。さらにE_k_1は平均1/\lambdaの指数分布を持つ独立な確率変数X_ik_1個を足したもの、E_k_2は平均1/\lambdaの指数分布を持つ独立な確率変数Y_jk_2個を足したもの、と考えられるので、そして任意の1{\le}i{\le}k_11{\le}j{\le}k_2についてX_iY_jが独立だから、それらすべては互いに独立な確率変数であるので、X_3は平均1/\lambdaの指数分布を持つ独立な確率変数をk_1+k_2個足したものと考えることが出来ます。よって、X_3の確率密度分布はf(t;k_1+k_2,\lambda)の形のアーラン分布になります。


これで同じ\lambdaを持つアーラン分布の集合が再生性を持つことを証明することが出来ました。