M/M/s/n待ち行列(2)

M/M/s/n待ち行列(1)」の最後の、式(13)(19)

  • 0{\le}k{\le}sの時
    • p(k)=\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(13)
  • k>sの時
    • p(k)=u^k\frac{s^s}{s!}p(0)・・・・(19)

からp(0)を求めます。
全確率の定理から

  • \Bigsum_{k=0}^np(k)=1・・・・(20)

ここで式(13)(19)を代入すると

  • \Bigsum_{k=0}^s\frac{(su)^k}{k!}p(0)+\Bigsum_{k=s+1}^nu^k\frac{s^s}{s!}p(0)=1

よって

  • \Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}p(0)+\frac{(su)^s}{s!}p(0)+\Bigsum_{k=s+1}^nu^k\frac{s^s}{s!}p(0)=1
  • \Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}p(0)+\Bigsum_{k=s}^nu^k\frac{s^s}{s!}p(0)=1
  • p(0)\left[\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{s^s}{s!}\Bigsum_{k=s}^nu^k\right]=1
  • p(0)\left[\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{s^s}{s!}u^s\Bigsum_{k=0}^{n-s}u^k\right]=1・・・・(21)

ここでu\neq1と仮定して「よく使う式」の式(1)(ここでは番号を振りなおして式(22)とします)

  • \Bigsum_{k=0}^Nu^k=\frac{1-u^{N+1}}{1-u}・・・・(22)

を用いれば

  • p(0)\left[\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{s^s}{s!}u^s\frac{1-u^{n-s+1}}{1-u}\right]=1

よって

  • p(0)\left[\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s(1-u^{n-s+1})}{s!(1-u)}\right]=1

よって

  • p(0)=\frac{1}{\left[\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s(1-u^{n-s+1})}{s!(1-u)}\right]}・・・・(23)

もうp(0)の表記がかなり複雑になりましたので、これを式(6-3)や式(6-3-2)に代入することはやめにします。


装置稼働率u_eは、M/M/1/nの時のように

  • u_e=1-p(0)

にはなりません。というのは装置はs台あるので、p(0)というのは装置s台が全て空いている状態のことをいうので上の式でu_eを定義するとそれは、いずれかの装置が稼動している割合になってしまいます。装置稼働率は、状態1ならば1/s、状態2ならば2/s・・・・、状態s以上ならば1(つまり100%)と考えることが出来ます。このように考えれば

  • u_e=\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{k}{s}p(k)+\Bigsum_{k=s}^np(k)・・・・(24)

と定義すればよいことが分かります。式(13)(19)を式(24)に代入してみましょう。

  • u_e=\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{k}{s}p(k)+\Bigsum_{k=s}^np(k)=\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{k}{s}\frac{(su)^k}{k!}p(0)+\Bigsum_{k=s}^nu^k\frac{s^s}{s!}p(0)
    • =p(0)\left[\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{s(k-1)!}+\Bigsum_{k=s}^nu^k\frac{s^s}{s!}\right]

よって

  • u_e=p(0)\left[\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{s(k-1)!}+\Bigsum_{k=s}^nu^k\frac{s^s}{s!}\right]・・・・(25)

あまりきれいな式にはなりませんでした。
一応、装置稼働率u_eが求まったので、次はX-Factorを求めたいのですがこれはM/M/1/nよりもさらに困難です。まず、WIPを求め、次に装置稼働率からスループットを求め、リトルの法則を用いてhttp://d.hatena.ne.jp/CUSCUS/20070221#1172007298:title=WIP]とスループットからサイクルタイムを求めます。最後にサイクルタイムからX-Factorを求める、という方針はM/M/1/nと変わりませんが、WIPがきれいな式になりそうにありません。
まず、WIP

  • WIP=\Bigsum_{k=0}^nkp(k)・・・・(26)

です。次にスループットTH

  • TH=\frac{su_e}{t_e}・・・・(27)

で求め、リトルの法則から

  • CT=\frac{WIP}{TH}=\frac{WIP}{su_e}t_e

となるので、X-FactorX

  • X=\frac{WIP}{su_e}・・・・(28)

となります。式(28)に(27)を代入して

  • X=\frac{\Bigsum_{k=0}^nkp(k)}{su_e}・・・・(29)

式(29)に式(13)と(19)を代入し、さらにそれで出来た式に登場するp(0)に式(23)を代入すればX-FactorXを求めることが出来ます。