リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(2)
「リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(1)」の続きです。
ではの場合はどうでしょうか? 処理時間は一定値なので、ジョブの完了はかならず装置1、2で交互に発生します。(下図参照)。
よって、待ち行列に並んでいるジョブは必ず2つの装置に交互に割り当たります。つまり、ジョブがこの待ち行列システムに到着した際に、すでに自分がどちらの装置で処理されることになるのか決定されている、ということになります。もし、2台の装置の両方が空いている場合は、その直前に処理を完了した装置とは別の装置を割り当てることにします。このようにすると、各装置は、到着するジョブをひとつ置きに処理することになります。
そこで、この待ち行列システムを2つの別々の待ち行列システムの集合と見ることが出来ます。その片方の待ち行列を取り出して考察してみましょう。
この待ち行列システムは、処理時間分布については装置処理時間が一定なのでです。到着分布については、到着間隔が指数分布の間隔を2つ足したものになりますから、2次のアーラン分布、つまりです。つまり待ち行列になります。ここでKingmanの近似式
- ・・・・(5)
を適用すると、は「アーラン分布」の式(14)から
また
なので
よって
- ・・・・(6)
となります。上の図2と図3を見比べれば、
- ・・・・(7)
であることが分かるので、式(6)から
- ・・・・(8)
という近似式を得ることが出来ます。
しかし残念なことに、これはリー・ロントンの近似式とは異なっています。「M/M/2における待ち時間の式」の式(1)から
- ・・・・(9)
なので、の時のリー・ロントンの近似式は
- ・・・・(10)
となります。式(10)を変形すると
よって
- ・・・・(11)
なので式(8)と比較すると
と
の部分が異なっています。
「リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(3)」に続きます。