リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(3)

それでは「リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(2)」で私が導き出したM/D/2の平均待ち時間についての近似式

  • CT_{q(M/D/2)}\appro\frac{1}{4}{\cdot}\frac{u}{1-u}t_e・・・・(8)

と、リー・ロントンの近似式

  • CT_{q(M/D/2)}{\approx}\frac{1}{2}{\cdot}\frac{u^2}{1-u^2}t_e・・・・(10)

のどちらが精度が高いか調べてみます。


幸い、逆瀬川氏の重要な論文

  • An approximation formula L_q\approx\alpha\cdot\rho^\beta/(1-\rho)(近似公式L_q\approx\alpha\cdot\rho^\beta/(1-\rho)

u=0.9の時のM/D/2の待ち行列長の計算結果が載っていました。(「逆瀬川氏の近似式の論文の和訳(3)」の「表3.4 \rho=0.9の時のGI/G/s待ち行列\tilde{L}_qL_q」参照) これによると平均待ち行列L_qL_q=3.86でした。では、式(8)と(10)からそれぞれL_qを計算してみます。
リトルの法則から

  • L_q=CT_q{\times}\frac{2u}{t_e}・・・・(12)

なので(今回の場合、装置が2台なのでスループット2u/t_eになります)
式(12)に式(8)を代入すると

  • L_q\appro\frac{1}{2}{\cdot}\frac{u^2}{1-u}・・・・(13)

一方、式(12)に式(10)を代入すると

  • L_q{\approx}\frac{u^3}{1-u^2}・・・・(14)

式(13)と式(14)にu=0.9を代入して計算すると、私の近似式からは

  • L_q{\approx}4.05

リー・ロントンの近似式からは

  • L_q{\approx}3.84

という結果が出て、リー・ロントンの近似式のほうが真の値に近いようです。


リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(4)」に続きます。