リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(6)

リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(5)」の最後の式は

  • CT_{q(M/G/s)}=\frac{{\Pi_{(M/G/s)}}E(R)}{1-u}・・・・(5)

でした。
ここで\Pi_{(M/G/s)}がM/M/sの時の\Pi_{(M/M/s)}にほぼ等しいこと、つまり

  • \Pi_{(M/G/s)}{\approx}\Pi_{(M/M/s)}

を思い出しましょう(私にはまだ証明が出来ませんが・・・・)。 さらにもし

  • E(R){\approx}\frac{1+c_e^2}{2s}t_e・・・・(6)

を言うことが出来れば式(5)は

  • CT_{q(M/G/s)}{\approx}\frac{1+c_e^2}{2s}\frac{\Pi_{(M/M/s)}}{1-u}t_e・・・・(7)

となります。「Πを使ってM/G/mの平均待ち行列長を表す」の式(4)(ここでは番号を振りなおして式(8)とする)

  • CT_{q(M/M/s)}=\frac{\Pi_{(M/M/s)}}{(1-u)s}t_e・・・・(8)

を式(7)に用いると

  • CT_{q(M/G/s)}{\approx}\frac{1+c_e^2}{2}CT_{q(M/M/s)}・・・・(9)

となって、リー・ロントンの近似式を導き出すことが出来ます。


しかし、私にはどう考えても式(6)が導き出せません。せめてM/D/sの場合だけでもうまくいかないかと思ったのですが

  • E(R)_{(M/D/S)}{\approx}\frac{1}{2s}t_e・・・・(6')

を言うことがどうしても出来ませんでした。
さらに、「リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(5)」では、式(2)

  • \hat{L}_{q(M/G/s)}{\times}\frac{t_e}{s}+E(R)・・・・(2)

を導く時に、「今到着したジョブは、それ以前に待っているジョブの処理が全て終了した後で処理に入る」と暗黙のうちに仮定しておりましたが、そうは言えないことに気付きました。たとえば装置が2台あれば、自分より1つ前のジョブが処理中でももう1台の装置が空いて自分も処理に入ることが出来る、ということが言えます。必ずしも自分より前で待っている全てのジョブが完了する必要はない、ということです。このことを考えると、式(2)は成り立たないことになります。


ここまできて、この方向での考察も頓挫してしまいました。