さて「リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(10)」でリー・ロントンの近似式
- ・・・・(1)
の根拠を示すことが出来ました。これで「Kingmanの近似式の拡張の導出についての考察」で証明することが宿題になっていた式(4)(ここでは番号を振り直して式(2)とします)
- ・・・・(2)
のうちの半分の証明が出来ました。このまま勢いに乗って
- ・・・・(3)
まで証明出来れば、Kingmanの近似式の拡張
- ・・・・(4)
を証明することが出来ます。それを試みてみます。
まず、「Kingmanの近似式の導出」の式(6)(ここでは番号を振り直して式(5)とします)に示すように
- ・・・・(5)
です。
一方、同じ利用率の待ち行列D/M/sの平均待ち時間を考えると、台の装置全てが処理中であるとした場合、この中の特定の1台が現在から後までの間に処理終了する確率は、処理時間分布が指数分布のため
になります。このような装置が台あるので、この中のどれか1台が現在から後までの間に処理終了する確率は、
となります。これは平均処理時間の指数分布の処理時間を持つ1台の装置と同等の振舞いになります。到着過程は一定時間毎の到着なので、ジョブの到着時に全ての装置が処理中という条件下での平均待ち時間はD/M/1とD/M/sで(ただし前者の装置平均処理時間は後者の装置平均処理時間の)と同じになるはずです。つまり、
- ・・・・(6)
D/M/s待ち行列においてジョブの到着時に台の装置が全て処理中である確率をで表します。すると
- ・・・・(7)
となります。また
- ・・・・(8)
です。式(6)(7)(8)から
- ・・・・(9)
となります。さらに、式(5)を用いると
- ・・・・(10)
となります。
もし、
- ・・・・(11)
が言えるのであれば式(10)は
- ・・・・(12)
となります。
ところで「リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(10)」の式(7)(ここでは、番号を振り直して式(13)とします)
- ・・・・(13)
と式(4)(ここでは、番号を振り直して式(14)とします)
- ・・・・(14)
から
- ・・・・(15)
となります。この式(15)を式(12)の右辺に代入すれば
- ・・・・(3)
を言うことが出来ます。
それでは式(11)
- ・・・・(11)
は成り立つのでしょうか?