M/G/s待ち行列の定常状態分布の近似(3)

M/G/s待ち行列の定常状態分布の近似(2)」での結論は、

M/G/sの定常状態確率p(k)の近似式は

  • [tex:k
    • p(k)\approx\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(1)
    • ただし、p(0)=\frac{1}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(2)
  • k{\ge}sの時
    • p(k){\approx}b^{k-s}(1-b)\Pi_{M/M/s}・・・・(3)
    • ただし
      • b=\frac{(1+c_e^2)u}{2-(1-c_e^2)u}・・・・(15)
      • \Pi_{M/M/s}=\frac{\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(5)

というものでした。これと以前「M/G/1の定常状態分布の近似式」で導いた式(3)と(14)(ここでは番号を振り直して(15)(16)とします。)

  • p(0)=1-u・・・・(15)
  • k{\ge}1の時
    • p(k){\approx}\frac{2(1-u)}{1+c_e^2}\left(\frac{(1+c_e^2)u}{2-(1-c_e^2)u}\right)^k・・・・(16)

と整合性が取れているのかどうか確認しておきます。まずM/G/1ではs=1です。ですので式(15)はM/G/sの式で言えば[tex:k

  • p(0){\approx}p(0)・・・・(16)

となってあたりまえの式に(意味のない式に)なってしまいます。式(2)からp(0)を求めると

  • p(0)=\frac{1}{\frac{(u)^0}{0!}+\frac{(u)^1}{1!(1-u)}}
    • =\frac{1}{1+\frac{u}{1-u}}=\frac{1-u}{1-u+u}=1-u

となって式(15)に一致します。一方、式(3)のほうですが、式(3)を求める前に式(5)を計算しておきます。s=1の時、式(5)は

  • \Pi_{M/M/s}=\frac{\frac{(u)^1}{1!(1-u)}}{\frac{(u)^0}{0!}+\frac{(u)^1}{1!(1-u)}}
    • =\frac{\frac{u}{1-u}}{1+\frac{u}{1-u}}=\frac{u}{1-u+u}=u

つまり

  • \Pi_{M/M/s}=u・・・・(17)

となり、式(3)は

  • p(k){\approx}b^{k-1}(1-b)u・・・・(18)

となります。ところで「M/G/1の定常状態分布の近似式」で式(14)の少し前の番号を振っていない式に

  • p(k){\approx}p(1)b^{k-1}=u(1-b)\left(\frac{(1+c_e^2)u}{2-(1-c_e^2)u}\right)^{k-1}・・・・(19)

とありますから、これを式(15)と一緒に考えれば式(19)は式(18)に一致することがわかります。よって「M/G/s待ち行列の定常状態分布の近似(2)」での結論と「M/G/1の定常状態分布の近似式」での結論は整合が取れていることが分かります。