平均値解析法(2)

平均値解析法(1)」では

  • CT_k(w)=\left(WIP_k(w-1)+1\right)t_{ek}・・・・(2)

が言えました。


次にリトルの法則から、ネットワーク内にジョブ数がw-1の場合のステーションkでのスループットTH_k(w-1)で表すと

  • WIP_k(w-1)=TH_k(w-1)*CT_k(w-1)・・・・(3)

となります。式(3)を式(2)に代入すると

  • CT_k(w)=\left(TH_k(w-1)*CT_k(w-1)+1\right)t_{ek}・・・・(4)

となります。


式(4)から次のことが言えます。w-1の時のステーションkスループットとサイクルタイムが分かればwの時のサイクルタイムが分かる。では、wの時のステーションkスループットTH_k(w)をどうやって求めればよいでしょうか? それを求めることが出来れば式(4)を用いて今度はw+1の時のサイクルタイムを求めることが出来るのですが・・・・。


それは次のようにして求めることが出来ます。
さて、式(4)でシステム内のジョブ数がwの時のステーションkのサイクルタイムが分かりました。ジョブのラウティングは1つであり、既知ですから、全てのステーションについてCT_k(w)を求めることでシステム全体のサイクルタイムCT(w)が分かります。このシステムのWIPはwでした。そうすると[リトルの法則]から、システム全体のスループットTH(w)

  • TH(w)=\frac{w}{CT(w)}・・・・(5)

として求めることが出来ます。このシステム全体のスループットTH(w)からステーションkスループットTH_k(w)を求めることが出来ます。このことは一般論で説明すると難しいですが、例示をすると簡単に分かります。例えば、ラウティング(=プロセス・フロー)がどのステーションも1回しか通らない(下図のような)ラウティングであれば

システム全体のスループットと各ステーションのスループットは等しいことが分かります。あるいは、あるいくつかのステーションについて2回通る(下図の)ようなラウティングであれば、

それらのステーションについては、システム全体のスループットの2倍がそのスループットであり、その他のステーションについてはシステム全体のスループットがそのスループットになります。あるいは、最終工程の結果、良品が90%で不良品が10%であり、不良品は最初の工程に戻って再処理される(下図のような)ラウティングであれば

各ステーションのスループットはシステム全体のスループットの10/9倍になります。もっと複雑なラウティングの場合でも同様なことが言えます。このようにラウティングを考慮することによってシステム全体のスループットTH(w)からステーションkスループットを求めることが出来ます。