クローズド・ジャクソン・ネットワークのサイクルタイムの求め方(2)
「クローズド・ジャクソン・ネットワークのサイクルタイムの求め方(1)」の続きです。では、なぜこの方法でサイクルタイムを求めることが出来るのか、見ていきます。ところで
Manufacturing Systems Modeling and Analysis
Manufacturing Systems Modeling and Analysis
- 作者: Guy L. Curry,Richard M. Feldman
- 出版社/メーカー: Springer Verlag
- 発売日: 2009/03/01
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には、この方法の導出方法を記していません。ここからは私の推測になります。
まず、
- ・・・・(1)
が成り立つ理由を考えてみます。まず、到着定理
- クローズド・ジャクソン・ネットワークの到着定理
- ネットワーク全体にジョブが個あるとして、あるステーションにジョブが到着する時にそのジョブが見る(自分を除いた)システム全体の状態の確率分布は、このネットワーク全体にジョブが個ある場合の定常状態確率分布に等しい。
から、あるジョブがステーションに到着する時に、ステーションに(自分を除いて)ジョブが個あるのを見る確率はになります。この時に到着したジョブがステーションで費やす時間の平均値を考えてみます。するとこれがになるはずです。
[tex:j
- 空いている装置が少なくとも1台存在するということですから、到着したジョブは待つことなく直ちに処理を受けます。よってこのジョブがステーション
で費やす時間の平均値は
-
- ・・・・(5)
- になります。
の場合は、
- 空いている装置はないので到着したジョブは待ちます。到着したジョブの前には個のジョブが処理を待っています。これらのジョブは平均
- に1個ずつ処理されるので、到着したジョブが処理を待つ時間は
- ・・・・(6)
- になります。到着したジョブの前に処理を待っているジョブがなくなってから、台の装置のうちどれか1台が空く平均時間は、処理時間が指数分布であることを考慮すると
- ・・・・(7)
- になります。その後、この到着したジョブが平均
- ・・・・(8)
- の処理時間を受けるので、このジョブがステーションで費やす時間は(6)+(7)+(8)となり
- ・・・・(9)
- となります。
[tex:j
- ・・・・(9)
となります。このジョブが到着した時にステーションにジョブが個ある確率がでしたので、このジョブがステーションで費やす平均時間は
となります。(はより大きくなれないことに注意) これがに等しいはずですので、式(1)が成り立ちます。