クローズド・ジャクソン・ネットワークのサイクルタイムの求め方(3)

クローズド・ジャクソン・ネットワークのサイクルタイムの求め方(2)」の続きです。今度は式(2)

  • \lambda_k(w)=\frac{wr_k}{\Bigsum_{i=1}^nr_iCT_i(w)}・・・・(2)

が成り立つ理由について調べます。
このネットワークで、各ステーションでジョブが処理されたら一旦、ネットワークの外に出るものと考え直します。そして、同じジョブが次にステーションに入ると考え直します。つまり、ジョブは各ステーションの前でネットワークに入り、各ステーションを出たとたんにネットワークから出る、と考えます。そうすると、このネットワーク全体のスループット\lambda_{TOTAL}(w)は各ワークステーションでのスループットの合計値になります。つまり

  • \lambda_{TOTAL}(w)=\Bigsum_{i=0}^n\lambda_i(w)・・・・(10)

一方、このようにネットワークを考えた時のネットワーク全体のサイクルタイムCT_{TOTAL}(w)は、各ステーションでのサイクルタイムを各ステーションのスループットで加重平均したものになります。つまり

  • CT_{TOTAL}(w)=\frac{\Bigsum_{i=0}^n\lambda_i(w)CT_i(w)}{\Bigsum_{i=0}^n\lambda_i(w)}

ここでステーションiへの相対到着レートr_iの意味を考えると、上の式で\lambda_i(w)の代わりにr_iを使っても構わないことが分かります。よって

  • CT_{TOTAL}(w)=\frac{\Bigsum_{i=0}^nr_iCT_i(w)}{\Bigsum_{i=0}^nr_i}・・・・(11)

ネットワーク全体のスループットとネットワーク全体のサイクルタイムをかけると、リトルの法則からネットワーク全体のWIPに等しくなります。そしてこれはwでした。よって

  • \lambda_{TOTAL}CT_{TOTAL}=w

よって

  • \lambda_{TOTAL}=\frac{w}{CT_{TOTAL}・・・・(12)

式(11)と(12)から

  • \lambda_{TOTAL}=\frac{w\Bigsum_{i=0}^nr_i}{\Bigsum_{i=0}^nr_iCT_i(w)}・・・・(13)

一方、

  • \lambda_k(w)=\lambda_{TOTAL}\frac{\lambda_k}{\lambda_{TOTAL}}・・・・(14)

ここで式(10)を用いると

  • \lambda_k(w)=\lambda_{TOTAL}\frac{\lambda_k}{\Bigsum_{i=0}^n\lambda_i(w)}

よって

  • \lambda_k(w)=\lambda_{TOTAL}\frac{r_k}{\Bigsum_{i=0}^nr_i}・・・・(15)

式(15)に式(13)を代入すると

  • \lambda_k(w)=\frac{w\Bigsum_{i=0}^nr_i}{\Bigsum_{i=0}^nr_iCT_i(w)}\frac{r_k}{\Bigsum_{i=0}^nr_i}

よって

  • \lambda_k(w)=\frac{wr_k}{\Bigsum_{i=1}^nr_iCT_i(w)}・・・・(2)

が成り立ちます。