クローズド・ジャクソン・ネットワークのサイクルタイムの求め方(4)
「クローズド・ジャクソン・ネットワークのサイクルタイムの求め方(3)」の続きです。今度は式(3)
- ・・・・(3)
が成り立つ理由について調べます。
単位時間あたりステーション内のジョブ数がからに変化する回数の平均値と、単位時間あたりステーション内のジョブ数がからに変化する回数の平均値をそれぞれ求めます。定常状態では両者は等しいはずです。
まず、単位時間あたりステーション内のジョブ数がからに変化する回数の平均値は、ジョブ到着時にステーション内のジョブ数がである確率と、ジョブが単位時間に到着する回数の掛け算になります。後者のジョブが単位時間に到着する回数は
になります。前者の、ジョブ到着時にステーション内のジョブ数がである確率は、「到着定理」によって
になります。よって、単位時間あたりステーション内のジョブ数がからに変化する回数の平均値は、
- ・・・・(16)
になります。
次に、単位時間あたりステーション内のジョブ数がからに変化する回数の平均値は、ステーション内のジョブ数がである確率と、ステーション内のジョブ数がである状態で、個になった時点からいずれかの装置の処理が完了するまでの平均時間の逆数の掛け算になります。装置の処理時間に指数分布を仮定しているため、指数分布の記憶なし特性のために任意の時点からいずれかの装置の処理完了までの平均時間は等しく、簡単に求めることが出来ます。その値は今、何台の装置が処理中であるかによって変わります。処理中の装置の台数は
で表されます。よって任意の時点からいずれかの装置の処理完了までの平均時間は
- ・・・・(17)
となります。よって、単位時間あたりステーション内のジョブ数がからに変化する回数の平均値は、
- ・・・・(18)
となります。
定常状態では式(16)と式(18)が等しいので
- ・・・・(19)
この式を変形すれば、式(3)を得ることが出来ます。
「クローズド・ジャクソン・ネットワークのサイクルタイムの求め方(1)」の式(4)
- ・・・・(4)
は明らかですから、これで「クローズド・ジャクソン・ネットワークのサイクルタイムの求め方(1)」に記した方法の根拠付けが完了しました。