三輪山 纒向(まきむく)(2)



大神(おおみわ)神社の鳥居。



前にも書きましたが、「大神」と書いて「おおみわ」と読ませます。
それにしても、この三輪山の神様は謎の多い神様です。古事記日本書紀によれば、非常に力のある神様で第10代祟神(すじん)天皇の時代に疫病を起こしています。

この天皇の御世に「役病多(さわ)に起り、人民(おおみたから)尽きなむとしき。ここに天皇愁嘆(うれ)えたまいて、神牀(かむとこ)にましましける夜に、大物主(おおものぬし)の大神、御夢に顕われてのりたまいしく、「こは我(あ)が御心なり。かれオオタタネコをもちて、我が前に祭らしめたまわば、神の気(け)起らず、国も安らかならむ」とのりたまいき。


古事記」より

そこで天皇がどの神のたたりかと夢に問えば、これは三輪山の神、大物主(おおものぬし)の神のたたりであり、「オオタタネコ」に自分を祭らせたら疫病は終息するだろう、と神は教えました。そして天皇オオタタネコを探し出して大物主を祭らせたところ、疫病が終息したということです。三輪山の神が、天皇家が大切にしなければならない重要な神であることが、この話から分かります。




大鳥居の横にあった「幽玄」と書かれた額



そのあと参道をまっすぐ進んでいくと階段につきあたります。その階段を上ると拝殿です。前にも書きましたが、この神社には拝殿はあっても本殿はありません。三輪山全体が御神体であるため、そんな大きな本殿が作れないのです。
この日は、ここで結婚式を挙げたのでしょう。お嫁さんがいました。



これが大神神社の拝殿です。この奥には珍しい「三ツ鳥居」という形の鳥居があるのですが、それを見るには神社の許可が要ります。先を急ぐ私は見るのをあきらめてしまいました。

三ツ鳥居
重要文化財。神の山・三輪山と拝殿を区切る場所に立つ。本殿にかわるものとして神聖視されてきた。拝観は参集殿で申し込みを。


大神神社境内案内図」より

私の妄想ですが、この三ツ鳥居(3つの鳥居が1つにくっついている)は、三輪山の麓の3つの部族が連合した記念(シンボル)としてデザインされたように思います。というのは、三輪山の西に広がる盆地に点在する古墳は3つの群に分かれて点在しているからです。(北から「大和古墳群」「柳本古墳群」「箸中古墳群」です。) 私の妄想では、三輪山の麓に暮らし、三輪山を信仰する3つの部族が共同することから日本の国が始まったのだと思っています。