GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(2)
まず、Page*1によれば
- ・・・・(2)
が成り立つということです。これは数多くの数値計算の結果から導かれたそうです。これを基本にしていきます。
次にリー・ロントンの近似式
- ・・・・(3)
を用います。リー・ロントンの近似式が成り立つ理由については「リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(1)〜(10)」に記しました。「リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(10)」の式(11)が上の式(3)になっております。式(3)を式(2)に代入すると
よって
- ・・・・(4)
この式の右辺のうち、はすでに分かっています。つまりこれは「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(1)〜(3)」で示したように
- ・・・・(5)
- ただし
- ・・・・(6)
です。ですから、あとを表す数式が分かれば式(4)を使ってGI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式を導くことが出来ます。よって次の目標はの近似式を求めることです。
その前に式(5)を今後の導出に便利なように変形しておきます。「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(2)」に示すようにM/M/s待ち行列において、システム内にジョブが個存在する確率は
- [tex:0{\le}k
- ・・・・(7)
- の時
- ・・・・(8)
です。一方、待ち確率(ジョブが到着した時に全ての装置が処理中であるのを見る確率)をで表すと、到着過程がポアソン過程であるためPASTAが成立し、到着時の確率と時間平均での確率が等しくなるので
- ・・・・(9)
で計算することが出来ます。式(9)に式(8)を代入して
つまり
- ・・・・(10)
になります。式(10)を式(5)の右辺に用いると
- ・・・・(11)
と表すことが出来ます。
*1:Page, E. S. (1972), Queueing Theory in OR