ペトルーシュカ 第3楽章 ストラビンスキー


この冒頭の音のすばらしさ。この部分は謝肉祭の朝の教会の鐘の音を模しているらしいのですが、私は、いつか自転車での通勤途中に見た、飛び回っているカモメ(?)たちの光景を思い出します。その前の晩は、台風のような低気圧の通過で、外は夜中じゅう騒がしかったこともあり、朝になっても、荒涼とした空模様でした。西のほうだけがわずかに雲が途切れていて、天気の回復する兆しを見せていましたが、風は強く、自転車をこぐ私にとっては向かい風でした。川に沿って通勤するのですが、いつもは鵜や鴨がいる川に、その日は数十羽のカモメが川の上を飛び交っていました。羽根を広げて風をいっぱい受け、螺旋を描きながら上下を繰り返します。お互いにぶつかりそうになりながら、すんでのところでかわしていきます。いつもは見られない光景でした。
私は「そうか、人間にとっては荒れ模様の空だけど、カモメにとってはうれしい天気なんだ」と思いました。その動きがはしゃいでいるように見えたからです。そしてカモメから見た視点を想像してみて、自分の心もちょっと浮き立ったのでした。


(録音が小さいので、ボリュームを大きくするとよいかもしれません)