GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(7)

GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(6)」の最後の22個の連立方程式はもちろん解析的に解くことは可能ですが、その解の式は非常に複雑になります。ここではExcelを使って数値的に解くことを考えます(参考「Excelを使った連立一次方程式の解き方」)。まず、先ほどの式のうち(16)〜(21)、(48)〜(62)を変形して、右辺が全てゼロになるようにします。

  • -4up(0,0)+p(0,1)=0・・・・(65)
  • -4up(1,0)+4up(0,0)+p(1,1)=0・・・・(66)
  • -(4u+1)p(0,1)+4up(1,0)+2p(0,2)=0・・・・(67)
  • -(4u+1)p(1,1)+4up(0,1)+2p(1,2)=0・・・・(68)
  • -(4u+2)p(0,2)+4up(1,1)+2p(0,3)=0・・・・(69)
  • -(4u+2)p(1,2)+4up(0,2)+2p(1,3)=0・・・・(70)
  • -(4u+2)p(0,3)+4up(1,2)+2p(0,4)=0・・・・(71)
  • -(4u+2)p(1,3)+4up(0,3)+2p(1,4)=0・・・・(72)
  • -(4u+2)p(0,4)+4up(1,3)+2p(0,5)=0・・・・(73)
  • -(4u+2)p(1,4)+4up(0,4)+2p(1,5)=0・・・・(74)
  • -(4u+2)p(0,5)+4up(1,4)+2p(0,6)=0・・・・(75)
  • -(4u+2)p(1,5)+4up(0,5)+2p(1,6)=0・・・・(76)
  • -(4u+2)p(0,6)+4up(1,5)+2p(0,7)=0・・・・(77)
  • -(4u+2)p(1,6)+4up(0,6)+2p(1,7)=0・・・・(78)
  • -(4u+2)p(0,7)+4up(1,6)+2p(0,8)=0・・・・(79)
  • -(4u+2)p(1,7)+4up(0,7)+2p(1,8)=0・・・・(80)
  • -(4u+2)p(0,8)+4up(1,7)+2p(0,9)=0・・・・(81)
  • -(4u+2)p(1,8)+4up(0,8)+2p(1,9)=0・・・・(82)
  • -(4u+2)p(0,9)+4up(1,8)+2p(0,10)=0・・・・(83)
  • -(4u+2)p(1,9)+4up(0,9)+2p(1,10)=0・・・・(84)
  • -(4u+2)p(0,10)+4up(1,9)=0・・・・(85)

さらに、式(64)を合わせて、これら22個の式の右辺と左辺を行列の形にExcelに打ち込みます。まず左辺は以下のようになります。

  • 図4

右辺は以下のようになります。

  • 図5

uの値を代入すると図4で打ち込んだ式に従って値を返すような行列を、別の場所に作ります。下の図がそうです。

  • 図6

この図はu=0.4の時の右辺の数値を表しています。上の図に示すように、数式のないセルにはゼロを入力することを忘れないようにして下さい。このあとこの行列の逆行列を求めますが、ゼロを入力していないとExcelはエラーを返します。
次に、図6の逆行列を、Excelの機能を使って作ります。Excelによる逆行列の算出方法については「Excelを使った逆行列の求め方」を参照下さい。すると下の図のようになります。

  • 図7

次に、図7の行列と図5に示した右辺との積を計算します。Excelによる行列の積の計算方法については「Excelを使った行列の掛け算」を参照下さい。すると各状態の定常状態確率が下の図のように算出されます。

  • 図8

この結果を

  • \Omega(E_2/M/2)=1-[p(0,0)+p(1,0)+p(0,1)+p(1,1)]・・・・(47)

に代入することによって\Omega(E_2/M/2)を近似的に求めることが出来ます。以上、Excelの行列の演算を用いた連立一次方程式の解の算出方法ですが、上の説明では分かりづらいので別途、変数の少ない例で、やり方を説明する予定です。
さて、いくつかのuの値について\Omega(E_2/M/2)を求めると以下のような結果になります。

  • 表1

これをグラフ化すると以下のようになります。

  • グラフ1