GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(9)

GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(5)」の式(43)

  • CT_q(E_2/M/s){\approx}\Omega(E_2/M/s)\frac{u+2}{4s(1-u)}t_e・・・・(43)

s=2とすれば

  • CT_q(E_2/M/2){\approx}\Omega(E_2/M/2)\frac{u+2}{8(1-u)}t_e・・・・(90)

となります。ここで\Omega(E_2/M/2)に「GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(8)」の表2の「近似2」の欄の値を用い、t_eの値を決めればCT_q(E_2/M/2)の近似値を求めることが出来ます。しかし、t_eの値はいろいろな値があり得るので、以降はCT_qの値を考える代わりに

  • X_q=\frac{CT_q}{t_e}・・・・(91)

で定義するX_qの近似値を求めることにします。このようにすると議論からt_eが消えて便利です。さて式(90)と(91)より、X_q(E_2/M/2)

  • X_q(E_2/M/2){\approx}\Omega(E_2/M/2)\frac{u+2}{8(1-u)}・・・・(92)

となります。また、「GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(3)」の式(13)

  • CT_q(D/M/s){\approx}2CT_q(E_2/M/s)-CT_q(M/M/s)・・・・(13)

から

  • X_q(D/M/2){\approx}2X_q(E_2/M/2)-X_q(M/M/2)・・・・(93)

ここで「M/M/2における待ち時間の式」に示すように

  • CT_q(M/M/2)=\frac{u^2}{1-u^2}t_e・・・・(94)

なので

  • X_q(M/M/2)=\frac{u^2}{1-u^2}・・・・(95)

式(93)に(92)(95)を代入すると

  • X_q(D/M/2){\approx}\Omega(E_2/M/2)\frac{u+2}{4(1-u)}-\frac{u^2}{1-u^2}・・・・(96)

ここで「GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(8)」の表2の「近似2」の欄の値を用いてuX_q(D/M/2)の値を計算すると

  • 表3

となります。この表ではuの値が0.1、0.2、0.3の時、X_qはマイナスの値になっています。しかしX_qは定義によりゼロ以上の値のはずです。このマイナスの値は近似を繰り返したことから発生していると推測されます。よって、uの値が0.1、0.2、0.3の時のX_qの値はゼロに補正します。

表4
これをグラフ化すると以下のようになります。

グラフ3


さて、これを別の式で近似したいのですが、ここでは\Omega(E_2/M/2)\Pi(M/M/2)で近似した場合にどの程度の精度の近似になるかを調べてみます。「GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(2)」の式(10)

  • CT_q(M/M/s)=\frac{\Pi(M/M/s)}{s(1-u)}t_e・・・・(10)

から

  • X_q(M/M/s)=\frac{\Pi(M/M/s)}{s(1-u)}・・・・(97)

よって

  • X_q(M/M/2)=\frac{\Pi(M/M/2)}{2(1-u)}・・・・(98)

式(96)の\Omega(E_2/M/2)\Pi(M/M/2)で置き換え、さらに式(98)を代入すると

  • X_q(D/M/2){\approx}\Pi(M/M/2)\frac{u+2}{4(1-u)}-\frac{\Pi(M/M/2)}{2(1-u)}
    • =\Pi(M/M/2)\frac{u+2-2}{4(1-u)}=\Pi(M/M/2)\frac{u}{4(1-u)}

よって

  • X_q(D/M/2){\approx}\Pi(M/M/2)\frac{u}{4(1-u)}・・・・(99)

ここで\Pi(M/M/2)は「M/M/sにおける待ち確率Π」の式(9)(ここでは番号を振り直して式(100)とします)

  • \Pi(M/M/2)=\frac{2u^2}{1+u}・・・・(100)

を用いて計算します。計算した結果を上のグラフ3に重ね合わせて以下に示します。

  • グラフ4

このグラフで「近似1」は表4に示した近似、「近似2」は(99)による近似になっています。よって、少なくともs=2に限って言えば、\Omega(E_2/M/2)\Pi(M/M/2)で近似するのはよい近似であることが分かります。