GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(10)

GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(9)」の最後の結論を一般化して、任意のsの場合に、

  • \Omega(E_2/M/s)\approx\Pi(M/M/s)・・・・(101)

がよい近似であることが分かったとします。もし、そうであるとCT_q(D/M/s)はどう近似されるのか考えてみます。
GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(5)」の式(43)

  • CT_q(E_2/M/s){\approx}\Omega(E_2/M/s)\frac{u+2}{4s(1-u)}t_e・・・・(43)

は式(101)によって

  • CT_q(E_2/M/s){\approx}\Pi(M/M/s)\frac{u+2}{4s(1-u)}t_e・・・・(102)

となります。
GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(3)」の式(13)

  • CT_q(D/M/s){\approx}2CT_q(E_2/M/s)-CT_q(M/M/s)・・・・(13)

に式(102)を代入して

  • CT_q(D/M/s){\approx}\Pi(M/M/s)\frac{u+2}{2s(1-u)}t_e-CT_q(M/M/s)・・・・(103)

さらに「GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(2)」の式(10)

  • CT_q(M/M/s)=\frac{\Pi(M/M/s)}{s(1-u)}t_e・・・・(10)

を式(103)に代入すると

  • CT_q(D/M/s){\approx}\Pi(M/M/s)\frac{u+2}{2s(1-u)}t_e-\frac{\Pi(M/M/s)}{s(1-u)}t_e
    • =\Pi(M/M/s)\frac{u+2-2}{2s(1-u)}t_e=\Pi(M/M/s)\frac{u}{2s(1-u)}t_e

よって

  • CT_q(D/M/s){\approx}\Pi(M/M/s)\frac{u}{2s(1-u)}t_e・・・・(104)

今のところ少なくともs=2の時は式(104)がよい近似になっていることが分かっています。また、s=1の時は式(104)は

  • CT_q(D/M/1){\approx}\Pi(M/M/1)\frac{u}{2(1-u)}t_e

よって

  • CT_q(D/M/1){\approx}\frac{u^2}{2(1-u)}t_e・・・・(105)

となりますが、これは「D/M/1における待ち時間の近似式」の式(5)と同じであるので、s=1の時も式(104)はよい近似であることが分かります。
さらに、s=3の時にE_2/M/2で行ったのと同じようにして\Omega(E_2/M/3)を平衡方程式を解くことによって近似的に求めた結果と式(105)を用いた場合とで
X_q(D/M/3)を比較してみると

  • グラフ5

となり、これもよい近似であることが分かります。
では、一気にs=10としてみたらどうでしょうか?

  • グラフ6

上のグラフがその結果です。ここから、任意のsについて式(104)がよい近似になっていると言ってもよさそうです。