今ならChaothonさんの質問に答えられると思う。(2)

今ならChaothonさんの質問に答えられると思う。(1)」の続きです。
昨日は

おそらく今の私ならば、M/M/sの状態確率分布を適用するよりも精度のよい公式をお知らせすることが出来ると思います。

と書きましたが、Chaothonさんはロットの到着過程をポアソン過程と仮定していますので、M/G/sの状態確率分布の近似式を提示すればよいと思います。そこで自分のブログを見直してみたところ今年の3月2日のエントリー「M/G/s待ち行列の定常状態分布の近似(2) 」に、その近似式を書いていました。再掲します。(ただし式の番号は振り直してあります)
M/G/sの定常状態確率p(k)の近似式は

  • [tex:k
    • p(k)\approx\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(1)
    • ただし、p(0)=\frac{1}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(2)
  • k{\ge}sの時
    • p(k){\approx}b^{k-s}(1-b)\Pi_{M/M/s}・・・・(3)
    • ただし
      • b=\frac{(1+c_e^2)u}{2-(1-c_e^2)u}・・・・(4)
      • \Pi_{M/M/s}=\frac{\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(5)


さてM/M/sの定常状態確率p(k)の近似式は「M/G/s待ち行列の定常状態分布の近似(1)」の式(6)(7)にあるように

  • [tex:k
    • p(k)=\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(6)
  • k{\ge}sの時
    • p(k)=\frac{(su)^s}{s!}u^{k-s}p(0)・・・・(7)

です。これらの式に登場するp(0)は、式(2)で与えられます。


よって、Chaothonさんの書かれたようにM/M/sの定常状態確率の公式を当てはめると、式(1)と式(6)の比較から明らかなように[tex:k

  • \Pi_{M/M/s}=\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(8)

です。よって式(7)は

  • p(k)=u^{k-s}(1-u)\Pi_{M/M/s}・・・・(9)

と変形出来ます。式(3)と(9)を比較すると、M/G/sの定常状態確率をM/M/sの定常状態確率で代用すると、約

  • \frac{b^{k-s}(1-b)}{u^{k-s}(1-u)}・・・・(10)

倍、異なることになります。実際にどのくらい差が出るかについてはc_e^2に具体的な値を当てはめて式(4)でbを計算してから式(9)を計算すると分かると思います。