第1章 ニューロンの数理モデル

今年の5月に買った「理工学系からの脳科学入門」(買った経緯は「ウィーナー狂いの血がさわぐ」に書きました)

理工学系からの脳科学入門

理工学系からの脳科学入門

の第1章のメモ。さまざまな数理モデルが登場するがそのまま書くよりも年代順に並べ替えて、理論の発展の様子を垣間見てみよう。

  • 1907年 Leaky積分発火モデル。
    • 「Leaky積分」は和名、漏れ積分というらしい。L. Lapicqueが提案。発火のメカニズムは述べていない。発火はスイッチで表しており、外部入力である。発火後の膜電位の時間変化を模擬する。
  • 1943年 マッカロック−ピッツのニューロンモデル
    • 発火の条件をとらえている。差分モデル。
  • 1948年 Hodgkinによる、ニューロンのクラス1とクラス2の分類
    • これはモデルではなくて発見だが、ここに示す。
  • 1961年 カイアニエロの神経方程式
    • この式には見覚えあるな。たしか合田 周平氏の「サイバネテックスの考え方 (講談社現代新書 181)」で見たような・・・。差分方程式。マッカロック−ピッツのニューロンモデルよりかなり複雑。
  • 1962年 フィッツフュー−南雲方程式
    • 上記のホジキン−ハクスレイ方程式を単純化させて、理論解析に適した形にしたもの。
  • 1972年 南雲−佐藤モデル
    • カイアニエロの神経方程式の特殊ケース。解析しやすいようにこのケースを考えたのだろう。ここで「悪魔の階段」というのが登場するが、カオスに関係しているらしい。
  • 1978年 甘利−ホップフィールドモデル
    • 他のモデルとは毛色が違い、時間平均したパルス密度に着目。
  • 1989年 2次元ヒンドマーシュ−ローズ方程式
    • フィッツフュー−南雲方程式の拡張
  • 1990年 (合原一幸の)カオスニューロンモデル
    • この章の著者によるモデル。南雲−佐藤モデルの拡張。ここにもカオスが登場する。カオスの生理学的意味は何なんだろう?
  • 年代不明 マッカロック−ピッツモデルの確率モデル版


「第2章 ニューロンの発火ダイナミクス(鈴木秀幸著)」は、上記の「2次元ヒンドマーシュ−ローズ方程式」による発火のメカニズムの解明である。