結局、まだほとんど分かっていないんじゃ・・・

理工学系からの脳科学入門

理工学系からの脳科学入門

の「第3章 脳とネットワーク構造 (増田直紀著)」を読んでいて、こんな文章に突き当たった。

 脳の主要な情報表現様式は、古くから発火率だと思われてきた。つまり、刺激の強さがニューロンの発火頻度によって表される、という考え方である。同期による情報表現は、比較的新しい考え方である。また、1つのニューロンにおいても、発火の詳細な時期が大切だという主張もある。


つまり、脳が情報をどのように表現しているかは、ほとんど分かっていない、ということではないか?


茂木健一郎と田谷文彦のブルーバックス「脳とコンピュータはどう違うか」

には、これに関する議論がある。「第8章 神経活動による情報のコーディング」のサブセクション「発火頻度コーディングと時間コーディング」のところだ。この本によれば、時間コーディング(=同期による情報表現)にも実験的証拠があるということだ。かといって発火頻度による情報表現が否定されたわけでもない。脳にはいろいろな情報表現が混在している、ということなのだろう。結局、脳についての理解はまだ一合目にすら達していないようだ。