時間平均で装置が全てふさがっている確率

定常状態分布」の続きです。任意のジョブ到着間隔分布と、任意の処理時間分布を持つ待ち行列について、時間平均で装置が全てふさがっている確率\Omegaの近似値は「定常状態分布」の式(5)

  • k{\ge}sの場合
    • p(k){\approx}b^{k-s}(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(5)

を用いて計算出来ます。ただしp(k)は、この待ち行列のシステムにジョブがk個存在する確率を表します。また、
sは装置台数、uは装置利用率です。また

  • p(0)=\frac{1}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(6)
  • b=\frac{(c_a^2+c_e^2[c_a^2(1-u)+u])u}{2-(2-c_a^2-c_e^2[c_a^2(1-u)+u])u}・・・・(7)

です。\Omegaの定義から

  • \Omega=\Bigsum_{k=s}^{\infty}p(k)・・・・(19)

この式に式(5)を代入して

  • \Omega{\approx}(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)\Bigsum_{k=s}^{\infty}b^{k-s}=(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)\Bigsum_{k=0}^{\infty}b^k
    • =(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)\frac{1}{1-b}=\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)

よって

  • \Omega{\approx}\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(20)

ここで式(6)を用いれば

  • \Omega{\approx}\frac{\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(21)

この近似式はジョブ到着間隔分布が指数分布の場合、極めてよい近似になります。さらに処理時間分布も指数分布の場合、厳密な等式になります。式(21)は計算が少し大変なので、もう少し精度が落ちるが計算が簡単な式を用意しました。それは

  • \Omega{\approx}u^{\sqrt{2(s+1)}-1}・・・・(22)

というものです。