GI/G/sの待ち確率Πを求めて(4)

GI/G/sの待ち確率Πを求めて(3)」の式(50)

  • \Pi\approx\frac{\beta}{u}\cdot\frac{\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(50)

で登場した\betaの意味をもう少し明確にしておきます。「時間平均で装置が全てふさがっている確率」の式(21)

  • \Omega{\approx}\frac{\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(21)

と式(50)から

  • \Pi\approx\frac{\beta}{u}\Omega

よって

  • \frac{\beta}{u}\approx\frac{\Pi}{\Omega}・・・・(51)

となります。つまり、ジョブ到着時での全装置がふさがっている確率と時間平均での全装置がふさがっている確率の比がbetauの比と同じなのです。今、\betaを求めたいのですから、式(51)の\approx=で置き換えて、

  • \frac{\beta}{u}=\frac{\Pi}{\Omega}・・・・(52)

betaを定義する式とします。


さて、「到着時刻状態分布」のk{\ge}s\piの式について考えます。M/G/sの場合は、

  • \pi(k){\approx}b^{k-s}(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(34)

GI/M/sの場合は

  • \pi(k){\approx}\frac{b^{k+1-s}(1-b)}{u}\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(37)

でした。ここから一般のGI/G/sの場合

  • \pi(k){\approx}\frac{\beta}{u}b^{k-s}(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(53)
  • ただし
    • 到着分布がMの時、\beta=u
    • 処理時間分布がMの時、\beta=b

が成り立つと仮定します。こうすると式(53)は式(34)と(37)の両方を含むことになります。さらに「定常状態分布」のk{\ge}sの場合の式(5)

  • p(k){\approx}b^{k-s}(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(5)

を式(53)に代入すれば

  • k{\ge}sの場合
    • \pi(k){\approx}\frac{\beta}{u}p(k)・・・・(54)

となります。ここから

  • \Bigsum_{k=s}^{\infty}\pi(k){\approx}\frac{\beta}{u}\Bigsum_{k=s}^{\infty}p(k)

よって

  • \Pi{\approx}\frac{\beta}{u}\Omega

となり式(52)が導き出されます。


では、式(53)はどのように根拠付けされ、\betaの値はどのように定まるのでしょうか? これが次の課題です。