GI/G/sの到着時刻状態分布を求めて(1)

今度は「到着時刻状態分布」で断念したGI/G/s待ち行列の到着時刻状態分布に再チャレンジしてみます。「GI/G/sの待ち確率Πを求めて(6)」の式(64)

  • k{\ge}s-1の場合
    • \pi(k)=\frac{\alpha}{u}p(k+1)・・・・(64)

に式(73)

  • \alpha\approx\frac{2-(1-c_e^2)u}{1+c_e^2}・・・・(73)

を代入して

  • k{\ge}s-1の場合
    • \pi(k)\approx\frac{2-(1-c_e^2)u}{(1+c_e^2)u}p(k+1)・・・・(76)

さらに「定常状態分布」の式(5)

  • k{\ge}sの場合
    • p(k){\approx}b^{k-s}(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(5)

を式(76)に代入して

  • k{\ge}s-1の場合
    • \pi(k)\approx\frac{2-(1-c_e^2)u}{(1+c_e^2)u}b^{k-s+1}(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(77)


k{\le}s-2の場合は「GI/G/sの待ち確率Πを求めて(6)」では考察していないので、ここで考察する必要があります。
GI/G/sの待ち確率Πを求めて(6)」の式(63)

  • A=\alpha\frac{s}{t_e}p(k+1)・・・・(63)

のように、処理終了時に、終了直前の状態がk+1であるような処理終了の回数を単位時間あたりで計った値の平均値を表す式を作ります。ただし、今回は[tex:k+1

  • A=\alpha\frac{k+1}{t_e}p(k+1)・・・・(78)

であるとします。つまり、この回数はその時処理中の装置台数に比例すると考えます。また、GI/G/sの時の類推から\alphaの値はk+1{\ge}sの場合と[tex:k+1

  • \frac{su}{t_e}\pi(k)・・・・(58)

は定常状態では等しいはずなので

  • \frac{su}{t_e}\pi(k)=\alpha\frac{k+1}{t_e}p(k+1)

よって

  • [tex:k+1
    • \pi(k)=\frac{\alpha(k+1)}{su}p(k+1)・・・・(79)

[tex:k+1

  • [tex:k
    • p(k)\approx\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(4)

を使うことが出来、これを式(79)に代入して

よって

  • \pi(k)\approx\alpha\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(80)

この式に式(73)を代入すると

  • \pi(k)\approx\frac{2-(1-c_e^2)u}{1+c_e^2}\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(81)

さらに、ここで式(4)を用いると

  • \pi(k)\approx\frac{2-(1-c_e^2)u}{1+c_e^2}p(k)・・・・(82)

となります。


以上をまとめると

  • k{\le}s-2の場合
    • \pi(k)\approx\frac{2-(1-c_e^2)u}{1+c_e^2}\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(81)
  • k{\ge}s-1の場合
    • \pi(k)\approx\frac{2-(1-c_e^2)u}{(1+c_e^2)u}b^{k-s+1}(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(77)

という結果になりました。
さて、これは

  • \Bigsum_{k=0}^{\infty}\pi(k)=1・・・・(83)

を満たすでしょうか?