バッファ・マネジメントについて(3)

バッファ・マネジメントについて(2)」の続きです。
では、ゴールドラットの「ザ・クリスタルボール」

では、総在庫量をどのように決めるべきであると言っているかといいますと、設定した結果をフィードバックすることで総在庫量を増減させて調整する、という答を提示しています。つまり、計算で出すのではなく、実際に試行錯誤して適正な総在庫量を見つける、という方法です。
具体的には、総在庫量を3等分し、下から赤、黄、青と名づける。ある一定期間、例えば1週間、手持ち在庫量が連続して赤の領域にあれば、つまり、手持ち在庫量が1週間ずっと総在庫量の1/3以下であるならば、総在庫量の設定が小さすぎると判断し総在庫量を増やす。逆に、ある一定期間連続して手持ち在庫量が総在庫量の2/3以上であるならば、総在庫量の設定が大きすぎると判断し総在庫量を減らす。このようにして総在庫量を調整するのです。これがゴールドラットの提唱するバッファ・マネジメントです。これを全ての製品について行います。
「ザ・クリスタルボール」で、このバッファ・マネジメントについて述べている箇所を以下に引用します。この引用の中で「SKU」とあるのは製品の種類を意味すると考えて下さい。

「いまの話を思い返してみてくれ。目標とする在庫量を置いているにもかかわらず、毎日、売り切れたり、ほとんど在庫が残らないようなSKUがある。そういうSKUには、注意しなければいけない。君のおかげで、そのことに気づいた。そういうSKUは、赤信号を出して在庫量を増やすようにしないといけないということだろ」
(中略)
「反対の場合はどうだろう。毎日、閉店時間にまだ多くの在庫が残っているSKUはどうだろう。青信号のSKUだよ」
(中略)
「例えば、このバスマット。フラミンゴピンク色のこのマットは、平均すると、1日1枚も売れていない。それなのに、15枚も在庫を置いている。在庫が10枚を下回ったことは一度もないじゃないか。こういうのは、どうすべきだと思う?」
(中略)
「商品は毎日補充されるのだから、在庫が15枚を下回っても、すぐにまた在庫を補充してもらう必要はない。10枚、あるいは5枚になってからでも十分だと思わないかい」
(中略)
「つまり、目標量の1/3をリミットとするわけだな。だったら、在庫が目標量の1/3を下回ったら『赤』ということにしよう。その状態が長く続いたら・・・・例えば一週間以上、赤が続いたら、警告サインと考えよう。そういうSKUは、目標在庫量を増やす。・・・・」
(中略)
「ということは、逆に毎日、一日の終わりの在庫が、目標量の2/3以上の場合は『青』ですね。だけど、一週間というのは少し短すぎるのでは? 確実に売り逃がしが出ないようにするには、在庫目標を減らすのは少なくとも常に二週間は青信号の状態が続くまで待った方がいいのではないでしょうか」
(中略)
「それから青と赤の間のゾーン、つまり、在庫はまだ十分あると思われる状態は『黄色』にしよう」



「ザ・クリスタルボール」の「IV渦巻く疑念」より