M/D/1待ち行列の待ち時間分布(2)

M/D/1待ち行列の待ち時間分布(1)」の最後に求めた累積確率分布F_q(t)の式(8)

  • F_q(t){\approx}1-u\left(\frac{u}{2-u}\right)^{k-1}+2(1-u)\left(\frac{u}{2-u}\right)^k\left(\frac{t-(k-1)t_e}{t_e}\right)・・・・(8)
  • ただし
    • k=ceil\left(\frac{t}{t_e}\right)・・・・(4)

は、天井関数ceil(x)が存在するために扱いづらくなっています。これはよく見ると折れ線になっています。u=0.5の時のF_q(t)を以下のグラフに示します。

t=kt_e(ただしk=1,2...)のところが折れ線の角になっています。さて、この式は元々近似式ですから、多少ずれていても、もう少し扱いやすい式があったほうが便利です。それを求めるために式(8)でt=kt_e(ただしk=0,1,2...)の場合を考えてみます。すると式(8)は、

  • F_q(t){\approx}1-u\left(\frac{u}{2-u}\right)^{k-1}+2(1-u)\left(\frac{u}{2-u}\right)^k\left(\frac{kt_e-(k-1)t_e}{t_e}\right)
    • =1-u\left(\frac{u}{2-u}\right)^{k-1}+2(1-u)\left(\frac{u}{2-u}\right)^k\left(\frac{t_e}{t_e}\right)
    • =1-u\left(\frac{u}{2-u}\right)^{k-1}+2(1-u)\left(\frac{u}{2-u}\right)^k
    • =1-u\left(\frac{u}{2-u}\right)^{k-1}+2(1-u)\left(\frac{u}{2-u}\right)^{k-1}\left(\frac{u}{2-u}\right)
    • =1-u\left(\frac{u}{2-u}\right)^{k-1}\left[1-\left(\frac{2(1-u)}{2-u}\right)\right]
    • =1-u\left(\frac{u}{2-u}\right)^{k-1}\left(\frac{2-u-2+2u}{2-u}\right)
    • =1-u\left(\frac{u}{2-u}\right)^{k-1}\left(\frac{u}{2-u}\right)
    • =1-u\left(\frac{u}{2-u}\right)^k

よって

  • F_q(t){\approx}1-u\left(\frac{u}{2-u}\right)^{t/t_e}・・・・(9)

と書くことが出来ます。そこで式(9)をt=kt_eではないようなtについても成り立つ、とみなしてしまいましょう。式(9)も近似式ですが、式(8)よりは扱い易い式になっています。以下のグラフにu=0.5の時のF_q(t)を式(8)で計算したものと式(9)で計算したものを比較して示します。

よく近似出来ていることが分かると思います。