ワーグナーの指輪とその周辺を徘徊:ラインの黄金:第1場 ラインの河底(1)

自分にはそれほど筆力はなく、また、ブログに費やす時間もなかなか割けない生活なので、見栄を張らずに、出来るところまで書いておこうと思っています。しかしいざ書いてみると「なんだこの貧弱な記述は」と思うこともしばしばです。でも、まあそれほどしゃかりきにならずに、少しは書いてみようと思いました。



ワーグナーの楽劇(楽劇とはまあ、当時考えられたオペラの進化形というものでしょうか?)「ニーベルンクの指輪」のことです。この「ニーベルンクの指輪」は四部作で、1作がだいたい上演に平均3時間かかるという長い長い作品です。その長い物語の発端が「ラインの黄金」です。神々と巨人族と小人族が、世界の支配を可能にする不思議な魔力を持つ指輪を巡って争うというのがこの物語の概要ですが、その発端の話を、「ニーベルンゲン伝説のあたり」に書いた他の伝説や史実を交えながら、そして自分の個人的な感慨も混ぜながら、気ままに書いてみようかな、と(今のところは)思っています。
とはいえ、疲れて書くのが続かなくなるかもしれませんが・・・・。(やはり、私が何年も持続出来る事柄は「工場統計力学」なのです。)



このお話、ワーグナーの楽劇では、ライン川の川底から始まります。そこに現れるのは3人の「ラインの乙女」、まあ、川の妖精ですね。この妖精たちは無邪気に川の中を遊んでいます。無邪気だけど、もう魅力あふれた妙齢の娘達です。そこにやってきたのは醜い小人のアルベリヒ(って、日本人だと「醜い」小人、というのが想像出来ない。「小人さん」は「カワイイ」のが普通でしょっ)。何も悪い事していないのに最初から「醜い」という設定はかわいそうだと私は思います。アルベリヒが悪役に成長するのは、このあとです。
このアルベリヒ、最初は純情で、この「ラインの乙女達」に恋してしまいます。彼女たちは無邪気なのですが、男心に対する配慮がなく、さんざんアルベリヒをからかってしまいます。さて、川底に太陽の光が差すと、そこに現れたのは「ラインの黄金」です。妖精たちは輝く黄金を前にしてそれを賛美します。そしてアルベリヒに話すには、この黄金は世界を支配する力がある。しかし、その力を手にする者は「女性への愛を断念する者」のみである、と話してしまいます。今までのアルベリヒの様子を見て、アルベリヒが「愛を断念する」とはとても思えなかったので油断したのでした。しかし、妖精たちにからかわれて深く傷ついたアルベリヒは女性への愛を断念すると宣言し、ラインの黄金を奪ってしまいます。妖精たちはけたたましく騒ぎますが無力な彼女達にはどうすることも出来ません。ただ、嘆きの声を上げるのみでした。
悪役としてのアルベリヒはここに誕生します。これがワーグナーによる長い長い物語の発端でした。


と、こう書いてしまってからの言い訳ですが、私はドイツ語がからきし読めません。ここに書いたのは若い頃読んだ解説書(それだってその頃にはほんのわずかしかなかった)の記憶です。長い年月の間に気づかぬうちに、その記憶も変わってしまっていることでしょう。あまりあてになりません。