GI/G/sのΠとΩの比(4)

GI/G/sのΠとΩの比(3)」のつづきです。
M/G/sの場合はsの値に関わらずB=1でした。GI/M/sの場合はBの値はsに依存しませんでした。ここからGI/G/sの場合もBの値はsに依存しないと推測出来ます。これをどうやって証明したらよいのか今の私には皆目検討がつきませんが、まずはこれを仮定して話を進めてみます。そうすると、GI/G/sについて

  • \frac{\Pi(GI/G/s)}{\Omega(GI/G/s)}=\frac{\Pi(GI/G/1)}{\Omega(GI/G/1)}・・・・(26)

が言えます。\Pi(GI/G/1)の定義から、これはKraemer・Lagenbach-Belz近似式に登場するbであることが分かります。よって

  • \Pi(GI/G/1)=b・・・・(27)

であり、bは以下によって近似されます。

  • b=u+(c_a^2-1)u(1-u)h(u,c_a^2,c_e^2)・・・・(2)
  • ただし
    • c_a{\le}1の時
      • h(u,c_a^2,c_e^2)=\frac{1+c_a^2+uc_e^2}{1+u(c_e^2-1)+u^2(4c_a^2+c_e^2)}・・・・(3)
    • c_a>1の時
      • h(u,c_a^2,c_e^2)=\frac{4u}{c_a^2+u^2(4c_a^2+c_e^2)}・・・・(4)

次に\Omega(GI/G/1)の定義から

  • \Omega(GI/G/1)=u・・・・(28)

です。式(26)(27)(28)から

  • \frac{\Pi(GI/G/s)}{\Omega(GI/G/s)}=\frac{b}{u}・・・・(29)

となります。ここでbの近似値を求めるのは式(2)(3)(4)を用いるのですが、式(2)(3)(4)に登場するuc_ac_eは全てGI/G/1待ち行列のものを使います。ところがGI/G/sとGI/G/1を対応付けるのに用いた方法は、uc_aを一定に保つものでしたし、c_eについてもsを変化させても処理時間分布を変えないと仮定したので一定です。よって式(2)(3)(4)に登場するuc_ac_eは全てGI/G/s待ち行列のものであると考えてよいことになります。これでGI/G/sのΠとΩの比を求めることが出来ました。