GI/G/s待ち行列の待ち時間の分布の近似式の再考(2)

GI/G/s待ち行列の待ち時間の分布の近似式の再考(1)」のつづきです。
GI/G/s待ち行列の待ち時間の累積確率分布F_q(t)の近似式を

  • F_q(t){\approx}1-B\exp(-At)・・・・(12)

と置きます。式(12)のA,Bはこれから求める変数です。この式の形の根拠は「GI/M/s待ち行列の待ち時間分布の近似」で、GI/M/s待ち行列におけるジョブの待ち時間の累積確率分布を式(10)(ここでは番号を振り直して式(13)とします)

  • F_q(t){\approx}1-\frac{b\Pi}{u}\exp\left(-\frac{(1-b)st}{t_e}\right)・・・・(13)

のように近似的に求めたことと、「M/G/s待ち行列の待ち時間分布の近似で、M/G/s待ち行列におけるジョブの待ち時間の累積確率分布を式(4)(ここでは番号を振り直して式(14)とします)

  • F_q(t){\approx}1-\Pi\exp\left(-\frac{2(1-u)st}{(1+c_e^2)t_e}\right)・・・・(14)

のように近似的に求めたことです。
式(12)でt=0と置くと

  • F_q(0){\approx}1-B・・・・(15)

となりますが、F_q(0)は到着したジョブが待たない確率なので、Bは到着したジョブが待つ確率\Pi(GI/G/s)になります。よって

  • B=\Pi(GI/G/s)・・・・(16)

GI/G/sのΠとΩの比(4)」の式(29)(ここでは番号を振り直して式(17)とします)

  • \frac{\Pi(GI/G/s)}{\Omega(GI/G/s)}=\frac{b}{u}・・・・(17)

から

  • \Pi(GI/G/s)=\frac{b}{u}\Omega(GI/G/s)・・・・(18)

式(16)と(18)から

  • B=\frac{b}{u}\Omega(GI/G/s)・・・・(19)

となります。一方、式(15)から、ジョブの平均待ち時間CT_q

  • CT_q=\frac{B}{A}

となります。ここから

  • A=\frac{B}{A}

この式と式(19)から

  • A=\frac{b\Omega(GI/G/s)}{uCT_q}・・・・(20)

式(19)と(20)を(12)に代入して

  • F_q(t){\approx}1-\frac{b}{u}\Omega(GI/G/s)\exp\left(-\frac{b\Omega(GI/G/s)}{uCT_q}t\right)・・・・(21)

ここで、あまりよい近似ではないのですが

  • \Omega(GI/G/s){\approx}\Pi・・・・(22)

(ただし、\Pi\Pi(M/M/s)の略記)を用いれば式(21)は

  • F_q(t){\approx}1-\frac{b}{u}\Pi\exp\left(-\frac{b\Pi}{uCT_q}t\right)・・・・(23)

となります。ここでbは「GI/G/sのΠとΩの比(4)」で述べたように

  • b=u+(c_a^2-1)u(1-u)h(u,c_a^2,c_e^2)・・・・(2)
  • ただし
    • c_a{\le}1の時
      • h(u,c_a^2,c_e^2)=\frac{1+c_a^2+uc_e^2}{1+u(c_e^2-1)+u^2(4c_a^2+c_e^2)}・・・・(3)
    • c_a>1の時
      • h(u,c_a^2,c_e^2)=\frac{4u}{c_a^2+u^2(4c_a^2+c_e^2)}・・・・(4)

となります。ではCT_qは?・・・・・と、ここまで書いてハタと困りました。私はPageの近似式を基本とすることをやめてしまったので、今CT_q(GI/G/s)の近似式を持ち合わせていないのでした。