Whitt教授の「Approxomations for the GI/G/m queue」の翻訳(3)

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 待ち行列における到着間隔時間の間の依存性の影響はトラフィック密度\rho\equiv\lambda\tau/mに依存するので、QNAはc_a^2\rhoに依存することを許している。2つの到着パラメータ\lambdac_a^2が与えられるとQNAアルゴリズムはさまざまな待ち行列を、それぞれが自分の再生到着過程を持つ独立したものと扱う。各々の待ち行列は基本パラメータ5つ組(\lambda,c_a^2,\tau,c_s^2,m)で部分的に規定されるので、私がここで提示する近似は直接適用出来る。さらに、待ち行列のネットワーク内の待ち行列での到着間隔時間は(到着過程がほぼポアソンでない限り)めったに独立ではなく、各々の待ち行列での到着過程に関する余分な情報は通常利用出来ないので、部分的に特徴付けられたGI/G/m待ち行列は適切である。よって、内在する分布について余分な情報が利用出来なくても意味があるGI/G/m待ち行列の重要な例が存在する。ネットワークの解析方法に関するさらなる議論については、Whitt (1983a, 1984c,1994)、BitranとTirupati (1988)、SegalとWhitt (1989)、Suri, Sanders, Kamath (1993)とそれらによって引用されている参考文献を参照のこと。多次元反射ブラウン運動に基づく待ち行列ネットワークのための代替となる方法についてはHarrisonとNguyen (1990)、Dai, Nguyen, Reiman (1993)を参照のこと。ここからは私は単一のGI/G/m待ち行列に焦点を合わせる。
 パラメータ5つ組(\lambda,c_a^2,^tau,c_s^2,m)を与えたとして、正しい定常状態が存在するように\rho<1を仮定する(Asmussen 1987)。適切な測定単位を用いて、一般性を失うことなく\tau=1とする。これは基本パラメータ4つ組み(\rho,c_a^2,c_s^2,m)をもたらす。2モーメントと整合のとれた確率分布のひと組があるので、任意の基本パラメータ4つ組(\rho,c_a^2,c_s^2,m)に対応する可能な混雑尺度のひと組がある。私はこの近似混雑尺度をこの組の近似とみなす。目標は特定の分布に基づいた特定のモデルに極めて近いフィットを達成することではなく、混雑尺度の組の中の典型的な値に近づくことである。この哲学に関する議論とこの見通しからの若干の単一サーバ待ち行列の試験についてはWhitt (1984a, 1984b), KlincewiczとWhitt (1984)、JohnsonとTaaffe (1991)を参照。
 私の経験では、(1)内在する確率分布が不規則過ぎない、そして(2)変動パラメータc_a^2c_s^2(特にc_a^2)が大き過ぎない、そしてトラフィック密度\rhoが小さすぎないという前提のもとで、可能な値の組の真ん中近い混雑の値は通常、満足出来る近似をもたらす(相対誤差10%のオーダー)。これらの条件のいずれかの違反は明確な警告であるべきである。
 異常に軽いトラフィック(低\rho)あるいは高い変動(高c^2)は、同じパラメータに基づく別の公式が優れているということを意味しておらず、部分的な情報(\rho,c_a^2,c_s^2,m)は混雑尺度を適切に決定しないということを意味している。もしより精度が必要であるならば、分布に関する追加の情報が必要である。もし分布が異常な形を持つことが分かっているならば、改良版を開発することが出来る。さらに詳しく言うと、Whitt (1984a)で記述した2点極値分布に近い分布やKlincewiczとWhitt (1984)での単峰極値分布は非常に不規則である。これらの極限のいずれかに近づく傾向は直すべき修正を命令する。
 変動パラメータの困難はc_a^2=5の時から始まりc_a^2{\ge}15の時に深刻になる。Whitt (1984a,定理2の系1)から、部分的に規定されたGI/G/1モデルでのシステム内期待個数における最大相対誤差はc_a^2100c_a^2パーセント)である。KlincewiczとWhitt (1984)に従えば、典型的な相対誤差はだいたい0.04\rho^{-1}c_a^2であり、\rho=0.8c_s^2=1の場合はそれは5パーセントであるが、\rho=0.2c_s^2=10の場合は200パーセントである。軽トラフィックの定義はサーバの数に依存する。例えば、トラフィック密度はm=1の時は\rho{\le}0.3で、m=20の時は\rho{\le}0.6で小さ過ぎることになる。しかし、私は絶対誤差が小さい限り軽トラフィックにおける相対誤差についてそれほど心配しなくなった。議論と数値例はこれらの点を明確にするのに役立てるべきである。私は第一に近似を標準の特定の場合と比較することによって近似を評価する。
 Whitt (1983a)のセクション5は部分的に規定されたGI/G/1待ち行列のいくつかの混雑尺度の近似を含むが、そこでは注意はGI/G/1モデルの近似に第一に置かれていた。単一サーバの特定の場合について、私はKraemerとLangenbach-Belz (1976)によるすばらしい業績に大きく頼ることが出来た。Whitt (1983a)のセクション5.2の中の複数サーバ待ち行列についての以前の近似はセクション5.1の単一サーバ近似よりずっと精度が悪い。それに反して、ここで私が記述する新しい複数サーバ近似は単一サーバ近似とほぼ同等である。私は今、複数サーバ待ち行列の待ちと待ち行列長についての近似も提供する(最初の2つのモーメントが以前記述されたのであったが)。GI/G/m待ち行列の近似に関する文献(Kimura 1986、Tijms 1986、Allen 1990)に関するここでの主要な寄与は定常状態平均を超えた近似である。