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2.4. 重負荷近似
一般のモデルについての重負荷極限定理はでは指数分布になることを示している(Borovkov 1965 、Kingman 1965、IglehartとWhitt 1970、Koellerstroem 1974)。平均についての単純重負荷近似は
- ・・・・(2.13)
であり、これはについては正確である。この単純重負荷近似(これは改善されていない直接拡散近似とともに使用される)は、が大きくて待ち確率が1に近くない場合に非常に貧弱である。私はのちにでの場合である、より一般的な重負荷極限を利用する(HalfinとWhitt 1981)。
例2 (2.13)の単純直接重負荷近似がどれほど貧弱であるかを見るために、での時のを考察しよう。トラフィック密度は重負荷近似にとって充分なくらい高いと考えられるが、(表13)である。この場合の平均待ち行列長の正確な値はであるが、(2.12)と(2.10)に基づく近似値は1.18と1.07である(表1)。対照的に、(2.13)と(2.2)に基づく単純重負荷近似はちょうどの場合と同じようにである。この場合、(2.13)における単純直接重負荷近似は3以上の倍率ではずれている。
正確なの結果を利用した重負荷近似の自然な改善は
- ・・・・(2.14)
ただし両方の場合においてとであることが知られている。公式(2.14)はモデルについて正確であるので、例2に示す(2.13)の困難は除去される。その上(2.13)と(2.14)はにおいて、両辺の比が1に近づくという意味で正しい。とすると(2.14)もまたモデルについての標準近似になる(LeeとLongton 1959、Hokstad 1978、NozakiとRoss 1978)。Allenは(2.14)をAllen-Cunneenの近似(Allen 1990, p.341)として参照している。モデルにおいて(2.14)は、サービス時間分布の余分な情報を与えられたとしても通常すばらしい近似である。しかし改善は軽負荷極限を考慮することで行われる(Bpxma、Cohen、Huffels 1979、BurmanとSmith 1983)。
QNAはについて近似(2.14)を用いている(Whitt 1983a)。(2.14)は以前用いられており、またそれは自然な1次近似として一般的な興味があるので、表1〜7でのとの数値比較において(2.14)を含める。そこでは重負荷として示してある。重負荷は単純直接重負荷近似公式(2.13)よりもむしろ改善された近似(2.14)を指し示す。]
いまや目的は(2.14)を改善することである。正確な値との数値比較を用いて私は、(2.14)は[tex:c_a^2
- ・・・・(2.15)
である。ただしは公式(2.2)と(2.14)に基づいた値を指し示している。例えば、での時の正確な値は、それぞれ0.87、1.06、1.19、1.24である。正確な値からの(2.14)のズレの値はとの全ての値について一貫しているので改善案を構築することは難しくない。
数値計算値はまた(2.14)はの値よりもの値にずっと近いことをも示している。これは、非標準分布(M仮定からの逸脱)はサービス時間に適用した時よりも到着間隔時間に適用した時にシステムにより大きな影響を与えるという、粗い、実践的なガイドラインと整合がとれている(Whitt 1984b、表III)。