Whitt教授の「Approxomations for the GI/G/m queue」の翻訳(10)

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2.5. D/M/mモデルとM/D/mモデル
 よりよい近似を得るためにCosmetatos (1975)によって開発されたM/D/mシステムとD/M/mシステムについての非常に正確な近似を適用する。彼の近似は

  • EW(M/D/m)\approx\phi_1(m,\rho)EW(M/M/m)EW(M/D/1)/EW(M/M/1)
    • \approx\phi_1(m,\rho)\left(\frac{c_a^2+c_s^2}{2}\right)EW(M/M/m)・・・・(2.16)

ただし(c_a^2+c_s^2)/2=1/2\phi_1(m,\rho)=1+\gamma(m,\rho)

  • \gamma(m,\rho)=\min\{0.24,(1-\rho)(m-1)((4+5m)^{1/2}-2)/(16m\rho)\}・・・・(2.17)
  • EW(D/M/m)=\phi_2(m,\rho)EW(M/M/m)EW(D/M/1)/EW(M/M/1)・・・・(2.18)

ただし\phi_2(m,\rho)=1-4\gamma(m,\rho)で、\gamma(m,\rho)は(2.17)のもの。
 私は(2.16)に0.24との最小値を挿入することによってCosmetatos (1975)の近似式を修正した。この修正がないと、任意の正のmについて\rho\rightar{0}\gamma(m,\rho)\rightar\inftyになる。さらに\gamma(m,\rho)>0.25について\phi_2(m,\rho)は負になってしまう。確率的比較を考慮すると、\gamma(m,\rho)は式(2.16)の中では1未満でなければならない(Whitt 1983b)。しかし、私は極限ケースの調整のみを用いる。
 (2.16)を直接適用するが、(2.18)は若干複雑なEW(D/M/1)の値を含んでいる。実際、EW(D/M/1)=\lambda^{-1}\sigmaであり、\sigmaは方程式x-e^{-(1-x)/\rho}=0の間隔(0,1)にある唯一の根であるので、EW(D/M/1)は非常な困難なしに評価される。しかし、私はKraemerとLangenbach-Belz (1976)の近似(Whitt 1983a)、公式(45)

  • EW(D/M/1)EW(M/M/1)\approx2^{-1}\exp(-2(1-\rho)/3\rho)・・・・(2.19)

を用いる。次に(2.18)と(2.19)を組合わせて

  • EW(D/M/m)\approx\phi_3(m,\rho)\left(\frac{c_a^2+c_s^2}{2}\right)EW(M/M/m)・・・・(2.20)

を得る。ここに\phi_3(m,\rho)=\phi_2(m,\rho)\exp(-2(1-\rho)/3\rho)である。M/D/mシステムとD/M/mシステムについてのこれらの近似の精度はすばらしい(表2,3)。D/M/mの場合に近似(2.14)からの大きな改善は明らかである。例えばD/M/mモデルで\rho=0.70m=2の時、EWの正確な値と新しい近似値はともに0.46であるが、近似式(2.14)では0.67となっている。