Whitt教授の「Approxomations for the GI/G/m queue」の翻訳(28)

原文は

から入手出来ます。


4.2. 漸近法
 ここでは詳しく調査しないが、もう一つの方法は単純な指数分布

  • P(W>x)\approx\alpha{e}^{-\eta{x}}・・・・(4.6)

によって裾野確率を近似することである。ただし\eta\alphaは極限

  • x\rightar\inftyの時、e^{\eta{x}}P(W>x)\rightar\alpha・・・・(4.7)

から得られる。(4.7)の漸近法はかなりの一般性を持って成立することが知られている。それはTakahashi (1981)、NeutsとTakahashi (1981)、Abate、Choudhury、Whitt (1994c)によって、それぞれPH/PH/mGI/PH/mPH/G/mのケースについて証明されてきた(ただしPHはフェーズ型を意味する)。(PH/G/mのケースは複数の正則条件を必要とし、主要なものは、サービス時間分布は有限のモーメント母関数を持たなければならない、というものである。) さらに、(4.7)はより一般的に成立すると推測されており、類似のものは他の定常状態確率変数TQNについて証明されてきた。Tijms (1986)もまた漸近法を検討し、Seelen、Tijms、van Hoorn (1985)はその表の中で(待った客についての)漸近パラメータ\eta\alphaを与えている。
 (4.7)の漸近待ち率\etaは変換方程式

  • Ee^{\eta[(V/m)-U]}=1・・・・(4.8)

の根として得られる。ただしVは(平均1の)サービス時間でありUは到着間隔時間である。さらにUVの最初の数次のモーメントに関する\etaの近似が、Abate、Choudhury、Whitt (1994a)、AbateとWhitt (1994)、ChoudhuryとWhitt (1994)で開発された。
 小さな裾野の漸近法(4.7)に基づく指数近似(4.6)はxがそれほど小さくない時に顕著に正確である。しかし、(4.7)と(4.8)における真の漸近パラメータ \eta\alphaは部分的情報(\rho,c_a^2,c_s^2.m)だけに依存するわけではない。パラメータ4つ組(\rho,c_a^2,c_s^2,m)に関係する、\etaの単純な重負荷近似は

  • \eta\approx\frac{2m(1-\rho)}{c_a^2+c_s^2}・・・・(4.9)

である。近似式(4.9)は3次モーメントを組み込むことによって、顕著に改善出来る。
 Abate、Choudhury、Whitt (1992a)は漸近定数\alphaについての対応する近似式

  • \alpha\approx\eta{EW}・・・・(4.10)

を提案した。mが大きい場合、条件確率分布P(W>x|W>0)に注目するのが望ましいであろう。よって、(4.10)のEWの代わりにED=EW/P(W>0)を用いることが出来る。