平均待ち行列長の近似式の精度比較(6)

平均待ち行列長の近似式の精度比較(5)」では、

  • \Pi(GI/M/1)=b・・・・(14)

を導き出しました。今度はこのbを近似することを考えます。
平均待ち行列長の近似式の精度比較(4)」の式(11)

  • L_q(GI/M/1)=\frac{\Pi(GI/M/1)u}{1-b}・・・・(11)

に式(14)を代入すると

  • L_q(GI/M/1)=\frac{bu}{1-b}・・・・(19)

となります。ところで、今までの精度比較で、平均待ち行列長の近似式

  • c_a{\le}1の時
    • L_q=\frac{c_a^2+c_e^2(u+(1-u)c_a^2)}{2}\frac{u^{\sqrt{2(s+1)}}}{1-u}・・・・(8)
  • c_a>1の時
    • L_q=\frac{c_a^2+c_e^2}{2}\frac{u^{\sqrt{2(s+1)}}}{1-u}・・・・(9)

s=1の場合には比較的精度が高いことが分かっています。GI/M/1待ち行列においてもs=1なので、この近似式を使うことが出来ます。式(8)(9)にs=1c_e=1を代入すると

  • c_a{\le}1の時
    • L_q=\frac{u+(2-u)c_a^2}{2}\frac{u^2}{1-u}・・・・(20)
  • c_a>1の時
    • L_q=\frac{c_a^2+1}{2}\frac{u^2}{1-u}・・・・(21)

となります。これらの左辺に式(19)を代入してbの近似値を得ることが出来ます。まず、c_a{\le}1の時は式(20)に式(19)を代入して

  • \frac{bu}{1-b}=\frac{u+(2-u)c_a^2}{2}\frac{u^2}{1-u}
  • \frac{b}{1-b}=\frac{u+(2-u)c_a^2}{2}\frac{u}{1-u}
  • \frac{1-b}{b}=\frac{2(1-u)}{u[u+(2-u)c_a^2]}
  • \frac{1}{b}-1=\frac{2(1-u)}{u[u+(2-u)c_a^2]}
  • \frac{1}{b}=\frac{2(1-u)}{u[u+(2-u)c_a^2]}+1=\frac{2(1-u)+u[u+(2-u)c_a^2]}{u[u+(2-u)c_a^2]}
  • b=\frac{u[u+(2-u)c_a^2]}{2(1-u)+u[u+(2-u)c_a^2]}・・・・(22)

となります。次にc_a>1の時は式(21)に式(19)を代入して

  • \frac{bu}{1-b}=\frac{c_a^2+1}{2}\frac{u^2}{1-u}
  • \frac{b}{1-b}=\frac{c_a^2+1}{2}\frac{u}{1-u}
  • \frac{1-b}{b}=\frac{2(1-u)}{u(c_a^2+1)}
  • \frac{1}{b}-1=\frac{2(1-u)}{u[c_a^2+1]}
  • \frac{1}{b}=\frac{2(1-u)}{u(c_a^2+1)}+1=\frac{2(1-u)+u(c_a^2+1)}{u(c_a^2+1)}
  • b=\frac{u(c_a^2+1)}{2(1-u)+u(c_a^2+1)}・・・・(23)

となります。まとめると

  • c_a{\le}1の時
    • b=\frac{u[u+(2-u)c_a^2]}{2(1-u)+u[u+(2-u)c_a^2]}・・・・(22)
  • c_a>1の時
    • b=\frac{u(c_a^2+1)}{2(1-u)+u(c_a^2+1)}・・・・(23)

となり、これでbの近似式を求めることが出来ました。式(20)(21)の精度は高かったので、式(22)(23)で求めたbの精度も高いと予想されます。