【論文翻訳】M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る(7)

4 アーランD式の新しい式
さて、アーランD式の新しいいくつかの式を我々は与える。全ての証明は付録に任せる。


定理 4.1
D(s,\lambda)=\exp\left\{-\Bigsum_{l=1}^{\infty}\frac{p(ls)}{l}\frac{\sqrt{ls}e^{-l\alpha^2/2}}{\sqrt{2\pi}}\Bigsum_{m=0}^{\infty}\frac{m^me^{-m}}{m!}\frac{e^{-m\alpha^2/2s}}{m+ls}\right\}      (19)
ただし
\alpha=(-2s(1-\rho+\ln\rho))^{1/2}, \alpha>0      (20)
でありp(n)=n^ne^{-n}\sqrt{2\pi{n}}/n! である。
一見して、(19)と(7)は非常に難しそうにみえる。(7)のいくつかの基本的操作が、(19)と若干より似ているD(s,\lambda)についての以下の式をもたらす。
D(s,\lambda)=\exp\left\{-\Bigsum_{l=1}^{\infty}\frac{1}{l}e^{-\frac{1}{2}\alpha^2l}\Bigsum_{m=0}^{\infty}\frac{p(ls+m)}{\sqrt{2\pi(ls+m)}}\left(\left(1-\frac{m}{m+ls}\right)e^{\frac{m}{m+ls}}\right)^{m+ls}\left(\frac{\lambda}{s}\right)^m\right\}      (21)
(21)からmについての級数が収束レート\frac{\lambda}{s}を持つことが分かる。我々は(19)をより(7)に似た形にすることも出来る。


定理 4.2
D(s,\lambda)=\exp\left\{-\Bigsum_{l=1}^{\infty}\frac{1}{l}\Bigsum_{m=0}^{\infty}e^{-l\lambda}\frac{(l\lambda)^{m+ls}}{(m+ls)!}\psi(l,m)\right\}      (22)
ただし
\psi(l,m)=\frac{(m+ls)!}{(ls)!m!}\frac{m^m}{(ls)^m}\frac{ls}{m+ls}e^{-\lambda{m}/s}


確かに、新しい式(22)をPollaczekの結果(7)と比べると、形のうえでほぼ一致していることを示しており、2つの式の差は因子\psiによって具体化されている。